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【静岡】なまこ壁 静岡県松崎町

ジャンル・エリア : 歴史 | 自然 | 静岡  2016年04月07日

日中は観光客にも開放されている伊豆文邸

日中は観光客にも開放されている伊豆文邸

風情醸す白黒の町並み

 駿河湾に面した伊豆半島南西部の静岡県松崎町は「なまこ壁」と呼ばれる民家や蔵が数多く残り、風情のある町歩きが楽しめる。花の里とも呼ばれる同町は、もうすぐ色とりどりの花に彩られる。季節が進むとともにシックな壁はさらに味わいを増す。

 なまこ壁は外壁様式の一つで、壁面に瓦を張り、接ぎ目に盛った漆喰(しっくい)の形が海に生息するナマコに似ていることから名付けられた。明治から昭和にかけて、財力のある商家などの建物に使われ、同町では約190軒が現存する。

 松崎港から那賀(なか)川河口近くを上流に向かって歩くと、なまこ壁の民家や蔵が点在している。漆喰の白と張り付けてある瓦の黒のコントラストが美しく、横から見るとひし形が多い。この壁は防火が目的というが「夏は涼しくて、冬は暖かいよ」とおばあちゃん。

 なまこ壁の橋を渡り、これまた、なまこ壁の建物の中にある町観光協会に立ち寄ると、1キロ弱の「壁の見どころ満載コース」を教えてくれた。まず隣の薬問屋だった近藤邸を通り、数分歩くと伊豆文邸へ。明治に造られたこの商家は町が建物を譲り受けて、無料開放している。長年にわたり風雨にさらされた壁は重厚感を増して味わい深い。うす暗い2階に上がると床の間があった。蔵の中に入ったようなほのかな温かみがある。防音効果も高く、これなら、よく眠れそうだ。目の前には同壁の温泉宿もある。

松崎町は花の里とも呼ばれ、さまざまな花が目を癒やしてくれる=いずれも静岡県松崎町で

松崎町は花の里とも呼ばれ、さまざまな花が目を癒やしてくれる=いずれも静岡県松崎町で

 裏の台所からは、女性たちのにぎやかな声とともに湯気が立ち上っている。「ぜんざいをどうぞ」と、観光客にふるまっていた。同邸を管理しているグループの1人・依田温子さんは「どう、立派な家でしょう。裏には蔵が二つもあるのよ」と誇らしげ。隣には無料の足湯もある。

 同町が生んだ左官の名工・入江長八(1815~89年)の作品が並ぶ「伊豆の長八美術館」へ。「漆喰鏝絵(こてえ)」と呼ばれる手法で、欄間や扉などに壁画をあしらったという。ルーペを手に作品の表面をのぞき込むと、凹凸があって、その精巧さに驚いた。浄感寺の長八記念館では、恩返しの作という「八方にらみの竜」の迫力に圧倒された。

 昼食は那賀川沿いにある「蔵ら」へ。地元の年配女性たちが運営する食事処で手作り小物も販売している。昼前だというのに満席でびっくり。一押しの「さんまずし定食」(540円)を注文した。薄味の上品な味わいと、新鮮なキャベツなどの天ぷら。磯に生息する甲殻類「カメノテ」のみそ汁の控えめなだしが、この町並みに似てよかった。 (柳沢研二)

 ▼メモ 松崎町へはJR三島駅で伊豆箱根鉄道に乗り換えて修善寺へ。さらに東海バスで1時間45分。伊豆の長八美術館、長八記念館の入場料は、いずれも500円。中学生以下は無料。「蔵ら」のランチは月、水、土、日曜限定で、午前11時半~午後1時半。「さんまずし定食」のほかに「おたのしみ昼膳」があるが、なくなり次第終了なので、早めの時間帯に訪れるのがお勧め。(電)0558(42)0100。松崎町観光協会(電)0558(42)0745

(中日新聞夕刊 2016年4月7日掲載)

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