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【石川】白峰 石川県白山市

ジャンル・エリア : | 歴史 | 石川  2016年05月19日

石川県立白山ろく民俗資料館では出作り小屋や旧家が移築され昔の山里の暮らしを知ることができる

石川県立白山ろく民俗資料館では出作り小屋や旧家が移築され昔の山里の暮らしを知ることができる

霊峰の山里、歴史に触れる

 霊峰・白山のふもとにある石川県白山市白峰地区は、日本有数の豪雪地帯だが、この冬は雪が少なく、一足早い春の訪れに沸いている。新緑に彩られた山里をのんびりと歩くのに最適のシーズンを迎え、山菜も、今が一番、おいしい。

 2012年、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された長さ1キロほどの細長い町並みを歩いて回ることができる。ゆでたゼンマイを広げて、もみながら天日で干し上げているおばあちゃん。おじいちゃんは軽トラックから山菜を下ろす。「これはウドで風味は格別よ」と大収穫に笑顔だ。

 同じ白山を隔てた岐阜県白川村の合掌造り集落と違い、黄色い土壁の民家が目立つ。旧山岸家は江戸期の大庄屋で、母屋は3階建て。中は入れないが、敷地に入って見学できる。クリの大木で造られた大はしごが常設されている家もある。この地は白山信仰とも深いかかわりがあり、林西寺では、明治期の廃仏毀釈(きしゃく)で山を下りなければならなかった仏像を拝観できる。白山の主峰・御前峰(2、702メートル)にあったという銅造十一面観世音菩薩(ぼさつ)座像は柔和な表情で語りかけてくるようだった。

 地区の外れに県立白山ろく民俗資料館があり、かつて営まれていた山里の暮らしを紹介している。旧家など6軒があり、ほとんどが中に入って見学できる。旧杉原家は3階建てで、延べ床面積335坪で同県最大の民家という。いろりに火が入れられ、お茶とともにこの地方で作られてきた雑穀「カマシ」のいりこを湯でといて出してくれた。少し苦味があったが、係の女性は「昔からおやつとして食べられていました。カルシウムが豊富ですよ」と教えてくれた。

 白峰では集落から離れた山中で焼き畑農業や養蚕などを行う「出作り」が戦後の高度成長期まで盛んで、その住居も移築されている。簡素な小屋を想像していたのだが、3階建てもあるなど、その大きさにびっくり。金沢市から訪れた親子は「家の形や民具にも個性がありますね。当時、暮らしていた人たちのぬくもりが残っていますね」と話していた。

残雪をまとった白山連峰=いずれも石川県白山市白峰で

残雪をまとった白山連峰=いずれも石川県白山市白峰で

 福井県境近くの西山展望台に向かうと、正面にまだらの残雪をまとった白山連峰があった。白山に向かう緑の峰は岐阜県側からなどと比べると、緩やかなイメージだった。そんな峰々に家屋を建てた人々の暮らしに思いをはせた。山は厳しいばかりでなく、恵みをもたらす安らぎの場所でもあったのだろう。 (柳沢研二)

 ▼メモ 白峰へは北陸道・福井北IC、白山ICから、いずれも約1時間。中心部にある特産品販売施設「菜さい」はとち餅、堅豆腐などや地元の山菜加工品などが並ぶ。飲食コーナーで「じげ御膳」(1600円)などがあり、堅豆腐ステーキや新鮮な山菜などが味わえる。隣には白峰温泉総湯がある。いずれも火曜定休。石川県立白山ろく民俗資料館は午前9時~午後4時半で木曜定休。入場料260円。白峰観光協会(電)076(259)2721

(中日新聞夕刊 2016年5月19日掲載)

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