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【岐阜】五色ケ原 岐阜県高山市丹生川町

ジャンル・エリア : | 岐阜 | | | 自然  2016年06月30日

コケに覆われた石を縫うように流れ落ちる谷川の流れ

コケに覆われた石を縫うように流れ落ちる谷川の流れ

ゆっくり歩き 森と会話

 岐阜県高山市丹生川町の五色ケ原の森は、北アルプスの乗鞍岳に抱かれるように3000ヘクタールの森林地帯が広がる。人の手がほとんど入ったことのない原始の森をゆっくりと巡ってみた。

 五色ケ原の森は自然保護のため入山規制があり、森の案内人(ガイド・有料)の同行が義務付けられている。標高1350~1700メートルに「カモシカコース」(6.7キロ)と「シラビソコース」(7.3キロ)が設けられ、いずれも食事や休憩を含めての所要時間は約8時間となっている。

 今回は特別にシラビソコース半分を4時間かけて歩く。運動不足の身なので、不安を抱えたまま五色ケ原の森案内センターへ。案内人の渡辺慶彦さん(39)に「軽登山ですから大丈夫ですよ」となだめられながら出発地へ車で向かう。高原にある小屋から歩き始め、シラビソ林に入るとホンドリスがお出迎え。森に転がる巨岩は緑色の厚いコケに覆われている。

 やがて水音が聞こえてきた。岩の間から「ゴボゴボ」と音を立てながら水がわき出て谷川となっている。流れの中に点在する石もコケをまとい、そこから植物が芽吹いている。「ここはコケや水を巡るツアーでもあるんです」と渡辺さん。

 アップダウンは少なく、ふかふかの腐葉土は歩きやすいので、森を散歩している感覚になる。すぐに不安は吹き飛んで、鼻歌交じりで気分がいい。次々と現れる池や沢など、変化に富んだ景色は飽きることがない。所々に小屋があって、バイオの循環式という美しいトイレがある。

 ゆっくりと歩いて森の息吹を感じてもらうために所要時間を長くとってあるようだ。乗鞍岳や高原が望める峠の上で昼食をとった。ブナやミズナラなどの葉を揺らしながら渡る風が心地よい。こんなぜいたくな山の楽しみ方があったんだ。時には立ち止まって、渡辺さんが「このブナ木の上にあるのがクマの爪痕です」などと説明してくれる。

白糸のように流れ落ちる落差40メートルある布引滝(右)=いずれも岐阜県高山市丹生川町で

白糸のように流れ落ちる落差40メートルある布引滝(右)=いずれも岐阜県高山市丹生川町で

 つり橋を渡ると、3つの滝が競演するゾーンにたどり着いた。落差、幅ともに約40メートルと最大の布引(ぬのびき)滝は、水がすだれのように流れ落ち、コースのフィナーレを飾る。その岩肌はコケに覆われている。滝の中ほどに突き出た岩肌を見ていると、同町にある千光寺で見た円空仏のように思えてきた。滝つぼに目をやると多くのイワナが泳いでいる。同エリアは禁漁区で、40センチ以上あるイワナが流れてくる餌をあさっているのに驚いた。にぎやかな夏山もいいが、森と会話をしながら逍遥(しょうよう)するのも楽しい。 (柳沢研二)

 ▼メモ ツアー集合場所の五色ケ原の森案内センターへは、高山市中心街から車で約30分。入山料(ガイド料含む)はカモシカ、シラビソ両コースともに9000円。小学校4年生~高校生は5300円。地元旅館に泊まるパックもあり、入山料、弁当、1泊2食付きAパック1万7000円、Bパック1万8000円がある。ツアーは10月31日まで。五色ケ原の森案内センター(電)0577(79)2280

(中日新聞夕刊 2016年6月30日掲載)

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