ジャンル・エリア : 展示 | 愛知 | 文化 | 歴史 2016年10月06日

蔵から見つかった「四季風俗図屏風」。幅4メートルの2つの屏風に、士農工商の生活がつぶさに描かれている=豊田市陣中町の市郷土資料館で
江戸時代に足助(現豊田市足助町)で栄えた豪商たちが親しんだ絵画や茶道などの文化を伝える展覧会「旧家の蔵から~足助の町を彩った商人文化~」が同市陣中町の市郷土資料館で開かれている。11月27日まで。
足助はかつて街道筋の宿場町として繁栄、その面影を残す中心部の古い町並みは、国の重要建造物群保存地区となっている。展覧会では、代表的な商家である紙屋鈴木家、小出家などの食器や絵画など100点が並ぶ。
田植えをする農民、造船に励む職人を、高さ1.8メートル、幅4メートルの2枚の屏風(びょうぶ)に生き生きと描いた「四季風俗図(四民図)屏風」は、鈴木家の蔵に眠っていた。江戸中期の人気画家、二代英一蝶(はなぶさいっちょう)の作と伝わる。客人をもてなす豪勢な生活がうかがわれる。
鈴木家の八代利蔵(1818~84年)らが、茶道の家元、京都の裏千家から教えを受けた記録や、お香をたく「香道具箱」も。足助商人が茶道や香道で、京都などの家元と関わりがあったことを伝えている。
俳句・短歌では、金物商などを営んだ池田屋の六代板倉塞馬(さいば)(1788~1867年)が、全国の代表的な俳人28人に名を連ねていた記録を展示。扇や短冊に詠んだ作品も紹介している。
市文化財課の山田佳美学芸員(29)は「足助商人たちは、商業のほかに、豊かな文化を育んでいたと知ってほしい」と話す。
一般300円、高校、大学生200円。中学生以下、70歳以上無料。屏風の展示は10月23日まで。月曜休館(祝日を除く)。(問)市郷土資料館=0565(32)6561
(作山哲平)