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【長野】漆器の里 長野県塩尻市木曽平沢

ジャンル・エリア : 展示 | 工芸品 | 文化 | 甲信越  2016年12月01日

旧中山道には漆器店が軒を連ねる

旧中山道には漆器店が軒を連ねる

伝統の街道に新風も

 木曽漆器の産地として名高い長野県塩尻市木曽平沢は、奈良井宿と贄川(にえかわ)宿の間にあり、旧中山道沿いには漆器店が軒を連ねている。ぶらりと歩きながら逸品を探したり、塗り工房見学などもできる。

 まず国道19号沿いの「木曽くらしの工芸館」に立ち寄ると、漆製品が展示、販売されている。ワインの産地らしくワインクーラーやグラスにも漆塗りがほどこされている。食器類が豊富で黒や朱、木目を生かす「すり漆塗り」などがあり、柔らかな雰囲気を醸し出している。気になる値段は、みそ汁などを食べる椀(わん)でも5000円を超えるのもある。

 展示されていた長野冬季五輪のメダル(実物)が目に留まった。メダルの製作には漆塗りの技術が生かされ、木曽平沢の職人も携わったという。2階は地元の職人らの作品が並ぶブースがある。

 朝からの雨が小降りになったので、木曽平沢の町並みに向かう。このエリアは漆器生産を生業とする職人らが住む「漆工町」として、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。長さは1キロぐらいあるだろうか。通りの両サイドには漆器店が立ち並び「漆街道」の様相だ。漆塗りの大きな看板も店によって、それぞれ個性があり、通りから店内をのぞき込んで、品定めをする人もいる。

 現代風の店に立ち寄るとジャズが流れ、漆をほどこした洋食器が新鮮だ。女性店員は「若い人たちに興味をもってもらえるよう工夫していかないと」と真剣な表情で話してくれた。漆塗りの車が展示してある店もあったりするが、通りは閑散としている。道側が店、裏が蔵などの工房という造りのようだ。20年ほど前、この通りにある店で、漆塗りのメンパ(曲げ物の弁当箱)を購入した。8000円ほどだったが、ご飯が冷めてもおいしく、今でも手放せない。

工房の蔵で漆塗りの工程を説明してくれた巣山元久さん=いずれも長野県塩尻市木曽平沢で

工房の蔵で漆塗りの工程を説明してくれた巣山元久さん=いずれも長野県塩尻市木曽平沢で

 その店を探したが見つからず、重厚感のある建物に吸い込まれるように巣山元久漆芸店に立ち寄った。同店は国の登録有形文化財に選定されている。突然の訪問にも信州の名工に選ばれている元久さん(77)が「工房を見ていってください」と母屋から裏の蔵に案内してくれた。

 戸を開けると、薄暗い部屋にはストーブが置かれ、酸っぱさが入り交じった漆特有のにおいと湿気が襲ってきた。巣山さんは製作途中の椀などを手にしながら「漆を塗る温度は20度ぐらいがいいかな」と丁寧に工程を説明してくれた。2階が塗る場所、1階が研ぐ場所で、何度もこの工程を繰り返して塗り重ねていく。母屋には巣山さんの作品が展示されていた。寒さで張り詰めた雰囲気の座敷には、使い手を待つ盆や鉢などがたたずみ、気品と潤いが漂っていた。 (柳沢研二)

 ▼ガイド 木曽平沢へはJR名古屋駅から中央線特急利用で約2時間、マイカーは中央道・中津川ICから国道19号を北上し約3時間15分。中央道・伊那ICから国道361号を経て国道19号に入るルートもある。巣山元久漆芸店など工房見学できる店も多いが、事前に予約を。木曽くらしの工芸館の営業は午前9時~午後5時。12月は6、13、14、20、27、31日が休み。(電)0264(34)3888。地区の南には木曽漆器館があり、漆塗りの歴史や工程などがわかる展示がある。高校生以上300円、中学生以下無料。原則、月曜定休。(電)0264(34)1140

(中日新聞夕刊 2016年12月1日掲載)

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