【本文】

  1. トップ
  2. お出かけニュース
  3. 【岐阜】芝居小屋「明治座」 岐阜県中津川市加子母

【岐阜】芝居小屋「明治座」 岐阜県中津川市加子母

ジャンル・エリア : 岐阜 | 文化 | 歴史  2017年03月02日

一昨年秋の改修を終えて一般公開されている明治座

一昨年秋の改修を終えて一般公開されている明治座

木の町の誇りかけ大改修

 東濃ヒノキで名高い山里の岐阜県中津川市加子母(かしも)には、住民が建て守り続けている築120年余の芝居小屋「明治座」がある。

 木材が整然と積まれた製材所や木工所が多い町並みを行くと、高台にはためく赤いのぼりが目に留まった。町のシンボルでもある明治座は1894(明治27)年に住民総出で建てられ、地歌舞伎の上演など娯楽施設として親しまれた。一昨年秋には屋根を従来の板ぶき石置きの様式にするなどの大改修が終わって一般公開されている。

 昼ごろには、千葉県や大阪府からのバスツアー客が訪れて、熱気があった。ガイドさんの案内でじっくりと小屋の中を巡ることができる。間口が約20メートル、奥行き約27メートルの2階建てで、600人の収容が可能。中は創建当時の造りで、本花道に加えて仮花道もある。水色地の鮮やかな「娘引き幕」は製糸業で稼ぎのあった村の娘75人が落成祝いに送ったものだ。

客席に座るなど、内部をじっくりと見学できる=いずれも岐阜県中津川市加子母で

客席に座るなど、内部をじっくりと見学できる=いずれも岐阜県中津川市加子母で

 舞台裏の楽屋に回ると、この小屋を訪れた役者たちのサインの中に亡き第18代中村勘三郎さんの筆書きのサインとパネル写真があった。2006年7月に襲名披露でここで公演した。当時の様子を大きく扱った中日スポーツの紙面もあり、花道を駆ける勘三郎さんの写真が涙を誘う。昔ながらの芝居小屋を愛した勘三郎さんの思いも感じられた。

 古い小道具や資料も豊富で今度は奈落に入ると、老朽化した柱を補強する根接ぎと呼ばれる昔ながらの工法も間近に見ることができ、改修は木の町の誇りをかけた事業だったこともうかがえる。大阪府泉大津市から訪れた年配の女性は「九州の出身ですが、昔は芝居小屋が各地にいっぱいあったのよ。昔ながらの方法で、よく、ここまで改修しましたね」と感激していた。見学者は500円の協力金を納めて、次の改修で屋根に使われる榑板(くれいた)に自分の名前を書いて名残惜しそうにバスに乗り込んでいた。

 この地で作られた木の製品を見ようと、加子母森林組合直営の「モクモクセンター」に立ち寄ってみた。中央には、まきストーブがあったが、製材所などで出るおがくずを圧縮したものを燃やしている。ヒノキの葉から抽出した油を配合した「東濃ひのきボディソープ」や和のアロマ「エッセンシャルオイル」などオリジナル商品が並ぶ。

 木工品や木のおもちゃも豊富で、さらには造林プロ用工具の充実ぶりは、さすが木の町だ。気になったのは、木目が美しいヒノキのベンチとおにぎりなどを包む薄板だった。木に関わる人たちの技術や息吹を感じることができた旅だった。 (柳沢研二)

 ▼ガイド 明治座の見学時間は午前10時から午後4時で、月曜定休。入場無料だが、1枚500円の榑板募金の協力を呼びかけている。(電)0573(79)3611。モクモクセンターは午前8時から午後5時半までで、年末年始を除き無休。(電)0573(79)3333

(中日新聞夕刊 2017年3月2日掲載)

目的で旅を選ぶ
気分で旅を選ぶ
旅コラム
国内
海外