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【三重】間崎島 三重県志摩市

ジャンル・エリア : その他 | 三重 |   2017年03月30日

真珠養殖の盛んな間崎島は海沿いに各家々の作業小屋や船着き場がある

真珠養殖の盛んな間崎島は海沿いに各家々の作業小屋や船着き場がある

路地に残る「真珠御殿」

 伊勢志摩サミットの会場となった三重県志摩市の賢島から約3キロしか離れていない間崎(まさき)島を巡ってみた。海とともに生きる人々の暮らしに触れながら、静かな島旅ができる。

 近鉄志摩線・賢島駅から「あご湾定期船」乗り場まで歩くと、真珠店や海鮮料理の店が立ち並ぶ。老舗の芳森真珠店のご主人は「サミット効果で各地からの観光客が増えました」と話す。スペインの帆船をモチーフにした「エスペランサ」には家族連れが次々と乗り込んでいる。

 こちらは、だれも乗っていない小さな定期船へ。ぜいたくな気分に浸りながら、屋上に上がると出港だ。やがて、下からにぎやかな声が聞こえた。鳥羽市の岩城さん(39)の家族で、子ども2人を連れて郷里の島に墓参りをするという。

 船は真珠養殖のイカダを縫うようにゆっくり進み、10分ほどで間崎漁港に着いた。岩城さんのお母さんが手を振りながら迎える。こちらにも「こんにちは」と女性が近づいてくる。日焼けして長靴を履き、漁師の若おかみの雰囲気を漂わす観光コーディネーターの谷水美登子さんで同島開発総合センターで待つ島の自治会長の岩城保司さん(77)の元へ案内してくれた。

 英虞湾中央にある島の周囲は約7キロで人口は85人。真珠養殖が盛んで、高度成長期には「真珠景気」に沸き立ち、テレビ、電話などの普及率は全国でもトップクラスだったという。

空き家が目立つが、どっしりとした瓦ぶきの家が多い=いずれも三重県志摩市で

空き家が目立つが、どっしりとした瓦ぶきの家が多い=いずれも三重県志摩市で

 保司さんらと漁港から細い路地を行く。空き家が多く壁の塗装ははげているが、どっしりとした瓦ぶきの「真珠御殿」だ。良材を使い、格子なども手の込んだ造りだ。

 旧間崎小学校跡の防災センターを過ぎ、島の北側に回ると、真珠養殖のために各家の専用船着き場や作業小屋がある。真珠が育つアコヤ貝を入れるネットを掃除している女性がいたり、若い漁師がカレイを揚げているなど、島の暮らしを間近に見ることができた。

 正面には、サミット会場となったホテルが見える。G7首脳に、この島影はどんなふうに映っただろうか。ここにも過疎化の波は押し寄せているものの、出会った数人は話し掛けると明るく応じてくれた。ただ、観光地にありがちな箱物はなく、商店も営業していない。漁港にぽつんと飲料水の自動販売機が1台あるだけで賢島のにぎわいと対照的だ。それでも谷水さんは「島の魅力を掘り起こして、発信していきたい」と話していた。

 島南側の坂道に立つと、眼下に瓦ぶきの作業小屋が見え、頬かぶりをした女性が作業をしていた。丘には薄紫色のハマダイコンの花が海風に揺れていた。花言葉は、ずっと待っています。「島にとどまり、子供や孫を待つお年寄りもそんな気持ちなのかもしれない」と思った。 (柳沢研二)

 ▼ガイド 間崎島へは賢島から和具行きの定期船を利用する。昼を除いて、ほぼ1時間に1本ペースで出ている。片道で中学生以上370円、小学生190円。志摩マリンレジャー賢島営業所(電)0599(43)1023

(中日新聞夕刊 2017年3月30日掲載)

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