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【和歌山】南方熊楠記念館 和歌山県白浜町

ジャンル・エリア : 展示 | 文化 | 自然 | 近畿  2017年04月06日

白浜温泉街や紀伊水道、円月島などを望むことができる南方熊楠記念館の屋上展望デッキ

白浜温泉街や紀伊水道、円月島などを望むことができる南方熊楠記念館の屋上展望デッキ

「知の巨人」足跡たどる

 この春、リニューアルオープンした和歌山県白浜町の南方熊楠(みなかたくまぐす)記念館は、同県が生んだ博物学の巨星・熊楠の膨大な資料をじっくりと見学できるとともに白浜一といわれる景色を眺められる。

 同館は紀伊水道に突き出た半島先の高台にある。新館のエントランスから2階に上がると、展示室がある。熊楠は1867年4月15日生まれで、間もなく生誕150年になる。植物、菌類にとどまらず天文、鉱物、宗教、民俗学など多くの分野に足跡を残している。

 入り口には、熊楠が少年時代に日本の百科事典ともいわれる江戸期編さんされた「和漢三才図会」を写した資料があり、きめ細かな筆致に驚く。ここで、くぎ付けになる人が多い。この春から大学で獣医学を専攻するという男性は「挿絵も自分なりにアレンジしてすごいですね。いやー、勉強になります」と感心していた。

 海外に遊学した際に使用したと思われる木製の標本を入れるための巨大なトランクや交遊のあった孫文から贈られたパナマ帽子、眼鏡、顕微鏡、鉄亜鈴など約800点を展示している。小学生の息子とともに見入るお父さんの姿もあった。

熊楠愛用の品や直筆の資料が並ぶ展示室=いずれも和歌山県白浜町で

熊楠愛用の品や直筆の資料が並ぶ展示室=いずれも和歌山県白浜町で

 ユーモラスな猫のイラストや代表する著書「十二支考」のコンテなど、熊楠直筆の文字や絵が豊富にあり、見る側に迫ってくるようだ。「熊楠の追っかけ50年」という小中高の後輩にあたる谷脇幹雄館長は「複製は少なく実物にこだわった展示です。本物の持つ迫力を体感してもらいたい」と熱く語る。

 パワーを放つ資料を2時間近く見ていたら、ぐったりしてしまった。屋上の展望デッキに上がると、白波を立てる紀伊水道、熊楠が昭和天皇を迎えた神島(かしま)、熊野の山々、観光名所の円月島と白浜温泉街も間近に望むことができる。このスケールのある景色が熊楠を育んだのか。

 同館のある番所山には遊歩道があって、磯遊びができるスポットが多い。強風に負けず、子供がぬれながら、水辺の生き物採取に夢中だった。

 スケールがありすぎて、捉えどころのない熊楠。ただ、子供のころに持っていた好奇心を死ぬまで持ち続けた人だったことは、わかったような気がした。

 (柳沢研二)

 ▼ガイド 南方熊楠記念館の開館時間は午前9時~午後5時で、原則木曜定休。大人500円、小中学生300円。(電)0739(42)2872。立ち寄ってほしいのが三段壁(さんだんべき)で、外国人にも人気が高い。熊野水軍が船を隠したという伝説が残る地下36メートルの洞窟まではエレベーターで一気に下降。熊野灘から洞窟に押し寄せる波は迫力満点だ。中学生以上1300円、小学生650円。午前8時~午後5時。(電)0739(42)4495。観光情報は白浜観光協会(電)0739(43)5511

(中日新聞夕刊 2017年4月6日掲載)

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