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【愛知】国宝「曜変天目」の宇宙を再現 瀬戸で長江さん個展

ジャンル・エリア : 展示 | 工芸品 | 愛知 | 文化 | 歴史  2017年06月28日

天目茶碗ばかりが並ぶ会場と長江さん=瀬戸市美術館で

天目茶碗ばかりが並ぶ会場と長江さん=瀬戸市美術館で

 中国・宋時代(10~13世紀)に作られたとされ、現存する3点全てが国宝に指定されている茶碗(ちゃわん)「曜変天目(ようへんてんもく)」。その再現に挑んでいる瀬戸市上品野町の陶芸家長江惣吉さん(54)の個展「曜変・長江惣吉展」が7月30日まで、同市美術館で開かれている。

 国宝の曜変天目は、黒い釉薬(ゆうやく)の中に現れる瑠璃(るり)色の斑紋が特徴だが、製法は謎に包まれている。

 長江さんが2006年に再現を試みた2つの曜変天目茶碗は、星のような斑紋が漆黒の闇に浮かび、光にかざすと全体が虹色に照り輝く。片手に収まるほど小さな碗の中に、宇宙が広がっている。

 「今まで2万個作ってきたが、人に見せられるものはこの2つ。国宝はもっときれいで、きらめきが違う」と話す。

 長江さんは、明治初期から続く窯元の9代目。曜変天目の研究は先代の父が始めたが、22年前に亡くなった。生前は「歴史ある窯元として地道に焼き物を作る方が大切」と研究に反対していたが、父の死をきっかけに研究を引き継ぐことを決めた。

 研究について父に詳しく教わったことはなく、ほぼ1からのスタートだった。父の代では禁じられていた曜変天目の産地・福建省建窯への渡航が解禁され、計28回視察。当時の窯跡や土の成分などを調査して原料を入手し、製法の解明に取り組んできた。

 その結果、焼成中に窯の温度が下がっていくときに蛍石(けいせき)を投入し、酸性ガスを発生させることで釉薬の表面を化学変化させ、鮮やかな斑紋を生み出したと確信した。長江さんが作った2つの曜変天目は、この製法で再現したものだ。

 「曜変天目と称した碗を作っている現代の陶芸家は多いが、どれも重金属を表面に塗って化学反応させたものばかり。その製法では年月がたつと劣化する。国宝の分析結果では重金属は使われていない」と断言する。

 昨年12月、テレビ東京の番組「開運!なんでも鑑定団」で曜変天目茶碗が取り上げられた。「本物に間違いない」と2500万円の鑑定額がついたが、長江さんは「本物の曜変天目ではない」と異議を唱え、注目を集めた。

 長江さんは「国宝は昨日作られたように色鮮やか。国宝レベルに到達するには、まだまだ研究が必要。これからも迫っていきたい」と話した。

 会場では、長江さん作の曜変天目だけでなく、長江さんが曜変の技術を生かして独自に生み出した茶碗など計30点も展示している。

 開館時間は午前9時~午後5時。7月11日休館。入館料は一般300円、高大生200円、中学生以下と65歳以上は無料。(問)同館=0561(84)1093

 (堀井聡子)

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