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【三重】国無形文化財「安乗人形芝居」上演 志摩で15、16日

ジャンル・エリア : 三重 | 文化 | 歴史  2017年09月12日

本番に向けて練習に励む保存会員=志摩市阿児町安乗の安乗神社で

本番に向けて練習に励む保存会員=志摩市阿児町安乗の安乗神社で

 志摩市阿児町安乗の安乗神社で15、16の両日、国重要無形民俗文化財の「安乗人形芝居」が上演される。400年にわたって継承されてきた伝統を保存会が受け継ぎ、毎年この時期に披露。今年も本番が間近に迫り、舞台稽古に熱が入っている。

 「そこでスッと立って」。「腕がぎこちない。柔らかく」。9月上旬の夜、安乗神社の舞台に大声が響く。ラジカセから流れる三味線と、「太夫(たゆう)」と呼ばれる語り手の声に合わせ、保存会員が練習に励んでいた。ベテラン会員の浅井多美代さん(68)が、人形の位置取りや細かな動作などをアドバイス。指導の声にも力が入る。

 人形は3人で操り、頭と右手、左手、そして足に役割を分担する。人形の顔や手、足の微妙な動きで感情を表現。3人の息が合うと、まるで生きているかのように動き始めた。

 練習は5月から始まり、9月に入ると、ほぼ毎日、舞台稽古を繰り返す。この日の演目は「艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)」。人形の頭を担当する浜口幸夫さん(67)は20年以上、人形芝居に携わっているが、この演目は初めて。「3人がイメージを共有して、人形が話しているような雰囲気を出さないといけない。自宅で台本を覚えてきたが、やっぱり難しいね」と話す。

 一体が重さ10キロを超す人形もあり、演目によっては1時間近く、手で支え続けなければならない。「手のひらにあざができることもある」と浜口さん。それでも「自分が思ったように操れると楽しいよ」と笑う。

 阿児町史などによると、安乗人形芝居は、豊臣秀吉の文禄の役(1592年)で功績を挙げた志摩の国領主の九鬼嘉隆が八幡宮(現・安乗神社)をお礼参りに訪れ、上演を許したのが始まり。当時の安乗は、大坂と江戸を結ぶ航路の風待ち港で、船番所が置かれていたことから、大阪文楽の影響を受けた。

 大正期の不況などで港が衰退し、人形芝居も1926年に中断。その後の日中戦争や太平洋戦争で中断期間は長引いたが、50年に復活して保存会が結成された。80年には国の重要無形民俗文化財に指定された。

 近年では保存会員の高齢化も進む。現在は20~70代の25人が所属しているが、平均年齢は50歳ほど。継承に尽力する浅井弘之会長(71)は「人形芝居を子どものころから楽しみにしていた。途絶えてしまっては寂しい」と語る。継承の鍵を握るのは、新たな担い手の確保。「地元以外でも新しく入ってくれる人がいれば、ありがたい」と参加を呼び掛けている。

 (安永陽祐)

 <上演案内> 15、16の両日とも午後6時半開演。15日は安乗小4~6年生が「勧進帳」、安乗中文楽クラブが「鎌倉三代記 三浦之助母別れの段」、保存会が「傾城阿波(けいせいあわ)の鳴門」の「巡礼歌の段」と「十郎兵衛住家の段」を上演する。

 16日は保存会が「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら) 渡し場の段」「艶容女舞衣」「壺坂観音霊験記(つぼさかかんのんれいげんき) 沢市山の段」の3演目を披露する。いずれも入場無料。

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