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【富山】富山ゆかり 芥川賞作家・宮本輝さん 創作に迫る初の単独展

ジャンル・エリア : 富山 | 展示  2017年10月16日

直筆原稿などが展示された会場を歩く宮本輝さん(手前右)=富山市の高志の国文学館で

直筆原稿などが展示された会場を歩く宮本輝さん(手前右)=富山市の高志の国文学館で

高志の国文学館

 富山ゆかりの作家宮本輝さん(70)の創作に迫る特別展「宮本輝-人間のあたたかさと、生きる勇気と。」が、富山市舟橋南町の高志の国文学館で始まった。人が生きることを深い洞察で描いてきた宮本さんにとって初の単独企画展となる。12月4日まで。(山本真士)

 芥川賞受賞作「螢(ほたる)川」や、富山の風土に触発された長編小説「田園発 港行き自転車」など10作品の直筆原稿を展示。取材風景の写真や、名前入りのオリジナル原稿用紙、歴代の万年筆も並べ、創作過程を紹介している。宮本さんの書斎を訪問したかのような記念写真が撮れる特大パネルや、宮本さんの作品の印象的な文章を印刷した色とりどりの垂れ幕も飾っている。

 14日の開会式には、ファンや出版関係者ら50人が出席。宮本さんは「現役の間に特別展が開かれることは、作家として大きな名誉」とあいさつ。富山市内で貧しく過ごした少年時代を振り返り、「60年後に、こんな立派な文学館で息子の特別展が開かれるとは、父も母も考えもしてなかったと思う」と感慨深げに語った。

 文学館の開館5周年の記念企画。観覧料は一般500円、大学生400円で、高校生以下は無料。火曜休館。

 関連行事として、館職員による小説教室や、宮本作品が原作の映画「道頓堀川」「流転の海」の上映会も、会期中に開かれる。(問)文学館076(431)5492

デビュー道筋 出会いを回想 記念対談で語る

 特別展の記念対談「命の器 人生における出会いの不思議」が14日、富山市奥田新町のボルファートとやまで開かれた。人のつながりや旅の意義について、宮本輝さんと、宮本作品の書評を手掛ける俳人で文筆家の堀本裕樹さんが語り合い、300人が耳を傾けた。

 宮本さんは小説の書き方やデビューの道筋を示してくれた作家池上義一さんとの出会いを回想。「下手な小説家に連れて行かれていたら今の私はない。一瞬の出会いが運命を変える。宿命みたいなものが俺の中にあったと考えるしかない」としみじみと振り返った。

 堀本さんが、批評家小林秀雄さんの言葉「命の力には、外的偶然を、やがて内的必然と観ずる能力が備わっているものだ」を紹介すると、「外的偶然を偶然としか感じられない人がいる。それを必然と感じるかどうかは命の器、個人の大きさの問題だ」と指摘した。

 20年前のシルクロードの取材旅行も回想。パキスタン・フンザのホテルでは、周りの7000メートル級の山で起きる雪崩の音が一晩に50回くらい聞こえたと言い、「人知を超えるものの前では、人間の営みは大したことではないような気がしてくる。そういう時をもつのが旅のすごさ。物書きは旅をすべきだ」と述べた。 (山本真士)

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