【本文】

  1. トップ
  2. お出かけニュース
  3. 【富山】「おわら風の盆」の町 富山市八尾町

【富山】「おわら風の盆」の町 富山市八尾町

ジャンル・エリア : グルメ | 富山 | 文化  2017年12月21日

越中八尾観光会館(曳山展示館)で開かれていた風の盆ステージ

越中八尾観光会館(曳山展示館)で開かれていた風の盆ステージ

坂を巡り物語の世界へ

 富山市八尾(やつお)町は毎年9月1~3日に開かれる「おわら風の盆」で知られ、小説や映画、歌、漫画の舞台として描かれている。冬場はそんな物語の世界に浸りながら、町並みをゆっくりと歩いて巡ることができる。

 風の盆の舞台となる八尾町の旧市街は南北約3キロで、江戸期から蚕種(さんしゅ)(カイコの卵)の生産や取引で栄えた。町歩きにお薦めなのが、越中八尾観光会館にある曳山(ひきやま)展示館の入館券や食べ歩き券3枚、喫茶割引券1枚が付くクーポン「よばれっちゃ」。わかりやすい地図付きで、これを手に町並みを歩いてみた。

 この日は曳山展示館でクーポンがあれば入場できる「風の盆ステージ」が開かれていた。江戸期から続く曳山やおわらの歴史、踊り方などの解説があった。踊り手は恥じらいを隠すために編みがさを深くかぶり、30歳近くになると引退しなければならないなどの話が興味深かった。

坂の町と呼ばれるとあって町並みは大きな石垣があったりと変化に富んでいる=いずれも富山市八尾町で

坂の町と呼ばれるとあって町並みは大きな石垣があったりと変化に富んでいる=いずれも富山市八尾町で

 次は日本の道100選に選ばれている石畳が続く諏訪町通りに向かった。八尾は坂の町と呼ばれ、ここも北に向かってゆっくりと下っている。道の両サイドには「雪流し水」と呼ばれる水路があり、その水音も情緒がある。各所にはおわらの歌碑があり、胡弓(こきゅう)や三味線の音が聞こえてきそうな雰囲気だった。

 おやつは、おわら玉天本舗に立ち寄り、クーポンで銘菓の「玉天」を味わう。一見、焼き菓子のようだが、マシュマロのような不思議な食感だった。井田川沿いの石垣では、ゆっくりと年配女性が坂道を上ってくる。高台まで来ると一息つき、「坂が多いこの町のおかげで、足腰は丈夫だね」と笑った。

 どうしても立ち寄りたかったのが喫茶店「明日香」。高橋治著の小説「風の盆恋歌」に登場する店のモデルとなった。高橋が訪れた約35年前のままという店内で、クーポンの割引でコーヒーとケーキをいただいた。大西さん(74)は高橋の写真を取り出し、思い出を語ってくれた。はかない悲恋の物語なのだが「この町に生きた人たちのエピソードが詰まっているのよ」とつぶやいた。今も本を手にした初老の男性らが店を訪れるという。

 風の盆はいろいろな町内を巡って見物するのがいい。本番に備えての予行練習にもぴったりの町歩きなのだが、物語の世界に浸りすぎると、1人で訪ねるには切なすぎると感じた。 (柳沢研二)

 ▼ガイド 「風の盆ステージ」は23日、2018年1月13、27日午後1時半から。おわら出演者による演奏やステージは2月からで、毎月第2、4土曜で1500円。「よばれっちゃ」は大人1000円、高校生以下840円。越中八尾観光会館(曳山展示館)で販売。(電)076(454)5138。風の盆についての展示が充実している八尾おわら資料館は午前9時~午後5時で大人210円、高校生以下無料。12月29日~1月3日休館。(電)076(455)1780

(中日新聞夕刊 2017年12月21日掲載)

旅コラム
国内
海外