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【京都】特別公開の文化財巡り 京都市

ジャンル・エリア : 文化 | 歴史 | 神社・仏閣 | 近畿  2018年01月18日

初めて一般公開された東福寺・経蔵内にある八角形の回転式輪蔵。1回転させると収められたお経を読んだのと同じ功徳が得られるとされる=京都市東山区で

初めて一般公開された東福寺・経蔵内にある八角形の回転式輪蔵。1回転させると収められたお経を読んだのと同じ功徳が得られるとされる=京都市東山区で

時を忘れ名宝に親しむ

 普段は非公開の文化財が特別に拝観できると聞いて、思わず京都に駆けつけた。市と市観光協会などが主催する「京の冬の旅」キャンペーン。15カ所の社寺で特別公開される。一般公開が初めてという文化財もあり、期待に胸が膨らむ。まずは臨済宗相国寺(しょうこくじ)派の大本山、相国寺に足を運んだ。

 4万坪の境内に12の塔頭(たっちゅう)がある。そのひとつ、薩摩藩ゆかりの林光院は、室町時代に創建。島津氏第17代当主、島津義弘の像と位牌(いはい)が移されたことがきっかけで、深いつながりを持つ。本堂と書院には、秋に完成したばかりの障壁画が飾られていた。ネコのように愛らしいトラや墨痕鮮やかな竜など、現代風の水墨画で親しみやすい。

 続いて、洛東(らくとう)の巨刹(きょさつ)、東福寺に向かった。秋には紅葉を望める通天橋が、冬枯れの木々に包まれて風情がある。1347年に建てられた禅堂は、日本最古で最大の建物。「かつて、一度に400人以上の僧が修行したそうです」とガイドする神村直美さん(50)。「『起きて半畳、寝て一畳』という言葉通り、与えられた空間は1人1畳。苦しい修行の場であったことに思いをはせてもらえれば」と言う。

 隣にある経蔵(きょうぞう)は初の一般公開で、1793年に再建された。経蔵とは、仏の教えが記された経典が多数収められたもの。東福寺では中国・宋から持ち帰った1000余りの経典が保管されている。爾(その)英晃法務執事(47)は「800年も前の経典だが、今も正月に使っている。実物を見て歴史を感じてもらえたら」とほほ笑む。

 最後に向かったのは妙覚寺。日本美術史で最大の画派、狩野一派の菩提(ぼだい)寺だ。狩野派の発展の礎を築いた2代目、元信が手掛けたと伝わる大涅槃(ねはん)図が初めて一般公開されていた。高さ約5.9メートル、幅約4.6メートルの大きさに圧倒される。京都学生ガイド協会の京都女子大2年藤田さん(20)が「お釈迦(しゃか)さまの入滅の様子が描かれている。写実的な鳥など、狩野派ならではの描写が印象的です」と解説した。

狩野元信が描いたとされる妙覚寺の「大涅槃図」=京都市上京区で

狩野元信が描いたとされる妙覚寺の「大涅槃図」=京都市上京区で

 拝観を終え、ふと庭園を見ると、しっとりと雨が降っていた。静謐(せいひつ)な空間に、しばし時を忘れた。 (長田真由美)

 ▼ガイド 「京の冬の旅」では、明治維新から150年、NHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の放映にちなんだ寺院の公開もしている。西郷隆盛と大久保利通らが国事を論じた「会談の間」や木曽川治水工事の責任者、平田靱負(ゆきえ)の墓が残る「大黒寺」、勝海舟が定宿にした「常林寺」などを特別公開。3月18日まで。定期観光バスツアーも毎日運行。京都市観光協会(電)075(213)1717

(中日新聞夕刊 2018年1月18日掲載)

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