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【静岡】つり橋巡り 静岡県川根本町

ジャンル・エリア : | 温泉 | 静岡  2018年01月25日

エメラルドグリーンの湖水を眺めながら、「夢の吊橋」をゆっくりと渡る人たち

エメラルドグリーンの湖水を眺めながら、「夢の吊橋」をゆっくりと渡る人たち

心地よい揺れに身を任せ

 静岡県川根本町を貫く大井川には、支流を含めて多くのつり橋が残り、そんな「つり橋巡り」が楽しめる。中でも、口コミで「一生に一度は渡ってみたい」というつり橋があると聞いて出掛けた。

 寸又峡(すまたきょう)温泉街から林道を歩き、お目当ての「夢の吊橋(つりばし)」に向かう。地元の人に「90分ほどの散策ですよ」と聞いていたので、運動不足の身でも大丈夫だ。やがて渓谷に「猿並橋」が見えた。長さ96メートルで、猿も利用するということからその名が付いたという。

 さらにトンネルを抜けると眼下につり橋が見えた。これが「夢の吊橋」で長さは90メートルだ。下にはエメラルドグリーンの水をたたえるダム湖。薄暗い山あいでも、その水は、ぼんやりと光を放つかのように輝いている。この橋は世界最大級の口コミサイト「トリップアドバイザー」(米国)の日本法人がまとめた「死ぬまでに渡りたい世界の徒歩吊り橋10」に選ばれるなど人気が高い。静かな雰囲気を味わうなら冬がいい。

 対岸から20歳代と思われるカップルがやってくる。ウキウキした様子が伝わる弾むような歩みだ。愛知県からの2人は「付き合ってから初めての遠出で、いい記念になりました。水の色が幻想的ですね」と笑顔。この橋の真ん中で女性が恋の成就を祈るとかなうという。

 数組のカップルが去った後に渡ってみた。そろり、そろりと歩を進める。湖面までは約8メートルある。足を置いた板の下はワイヤや板で、しっかり補強されているので安心だ。心地よい揺れに身をゆだね、中央で止まって周囲を見渡す。谷に迫る山々に圧倒された。冷えた体を温めようと、同温泉街の翠紅(すいこう)苑の露天風呂(入浴料500円)へ。とろりとした湯が気持ち良かった。

「塩郷の吊橋」の下を通過する大井川鉄道のSL=いずれも静岡県川根本町で

「塩郷の吊橋」の下を通過する大井川鉄道のSL=いずれも静岡県川根本町で

 続いて、大井川に架かるつり橋では、最長の約220メートルを誇る「塩郷(しおごう)の吊橋」へ。到着すると遠くで、大井川鉄道のSLの汽笛が聞こえた。幸運にも橋の上から蒸気を吐いて通過するSLを眺めることができた。ゆりかごのような揺れを味わい、ゆっくりと蛇行しながら流れる雄大な大井川を体感した。 (柳沢研二)

 ▼ガイド 観光客向けに川根本町のつり橋マップがある。「夢の吊橋」をはじめ9つのつり橋を紹介している。また、3月21日まで同町内の指定の宿に宿泊すると1泊1人あたり2000円のキャッシュバックがあるキャンペーンを実施中。川根本町まちづくり観光協会(電)0547(59)2746

(中日新聞夕刊 2018年1月25日掲載)