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【岐阜】関刃物ミュージアム 岐阜県関市

ジャンル・エリア : 展示 | 岐阜 | 工芸品 | 文化 | 歴史  2018年02月15日

刃物屋三秀で日本刀の鍛錬をする刀匠ら

刃物屋三秀で日本刀の鍛錬をする刀匠ら

真剣勝負 火花散る鍛錬

 刃物の一大産地として知られる岐阜県関市に新たな観光スポットが誕生した。同市小瀬の刃物販売会社、刃物屋三秀(さんしゅう)に今年に入ってオープンした「関刃物ミュージアム」で、日本刀の鍛錬見学や体験などができるとあって、海外からも注目を集めている。

 目玉は新設された鍛錬場。周囲はガラス張りで見学が可能だ。この日は同市在住の刀匠、第25代藤原兼房さん(61)と若い弟子2人が鍛錬の準備をしていた。松炭が真っ赤になるまで、江戸末期に作られたという「ふいご」で空気を送り込む。そこで温められた玉鋼を大槌(おおづち)で打ちつけると、不純物が火花となって飛び散った。

 藤原さんは汗だくの弟子に向かって「教えた通りにやらなあかんやろ」とげきを飛ばす。まさしく真剣勝負の場だ。その迫力に圧倒されていると「やってみるか」とご指名があった。藤原さんの合図で大槌を振り下ろす。お叱りを受けるのかと思いきや、「力の入れ方がうまいじゃないか」とほめられた。

 その切れ味で多くの戦国武将にも愛用されたという関の日本刀。吉田和弘社長(46)の居合切りを間近で見学できるなど、貴重な体験ができた。中日新聞に「名城レッツゴー!」を執筆しているクリス・グレンさんにも見せてあげたかった。隣の販売施設では目移りするほど各種刃物が並んでいたが、お目当ての小出刃包丁を購入した。

「切る」について学ぶことができるフェザーミュージアム=いずれも岐阜県関市で

「切る」について学ぶことができるフェザーミュージアム=いずれも岐阜県関市で

 次に向かった関鍛冶伝承館は、関を代表する兼元や兼定をはじめ、現在の地元刀匠の作品など、多数の日本刀を展示している。製造工程によって刀匠、研師(とぎし)、柄巻師(つかまきし)、鞘師(さやし)、白銀師(しろがねし)といった職人の手を経て刀となるが、これらの分業を、すべて地元でまかなっているのも驚きだった。

 市内には刀だけでなく、各種刃物の展示施設も充実している。「切る」について学べるフェザーミュージアムでは、かみそりや医療用精密刃物についてくわしく展示している。ひげそりの体験も無料ででき、そり方のこつなども教えてもらった。帰宅して20年以上にわたって何げなく使っている包丁、野外用ナイフ、なたを確認したら、すべて関市での生産だった。今度は新たな包丁やナイフを求めて、いろいろな店を巡ってみたくなった。 (柳沢研二)

 ▼ガイド 刃物屋三秀は午前8時半~午後5時で年中無休。鍛錬見学は不定期(有料)。居合切り見学、和装体験は無料。はさみ製作などの体験メニューもある(500円から)。いずれも要予約。(電)0575(28)5147。関鍛冶伝承館は午前9時~午後4時半で火曜定休(祝日の場合は翌日)。大人300円、高校生200円、小中学生100円。(電)0575(23)3825。フェザーミュージアムは午前9時半~午後5時で火曜定休。入場無料。(電)0575(22)1923

(中日新聞夕刊 2018年2月15日掲載)