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【長野】中山晋平記念館 長野県中野市

ジャンル・エリア : 展示 | 文化 | 歴史 | 甲信越 | 芸術  2018年03月01日

中山晋平が愛用した大正時代のピアノ(手前)の伴奏で歌う人たち

中山晋平が愛用した大正時代のピアノ(手前)の伴奏で歌う人たち

童謡のやさしさを体感

 今年は日本で童謡が生まれてちょうど百年に当たる。「てるてる坊主」「シャボン玉」「証城寺(しょうじょうじ)の狸囃子(たぬきばやし)」といった今も親しまれる作品を残した作曲家、中山晋平(1887~1952年)の出生地に立つ記念館は、ピアノやオルガンの演奏に合わせていつでも来館者が歌うことができ、やさしいメロディーを体ごと感じられる場所だ。

 厳しい寒さが一瞬和らいだ2月の午後、地元の人や観光客が自由に集まる「うたう会」が開かれていた。ホールに35人ほどが座り、晋平の童謡を合唱したり、古いSPレコードに耳を傾けたり。伴奏で職員が弾いてくれたのは、いずれも晋平が生前愛用した1887年製のオルガン、大正期のドイツ製グランドピアノだ。2台とも正確な調律を欠かさず、曲が生まれた時代の空気を伝えている。

 誘い合って来ていた地元の小林とめ子さん(74)、江口昭江さん(79)に歌の魅力を尋ねてみた。2人とも「自然と歌えて、歌いいいよね」と口をそろえた。そうそう、これこそが晋平のメロディーの本質であり、いろんな苦労を積み重ねて出来上がった音楽だったのだ。

 もともと童謡は、文部省唱歌が「西洋音楽の丸写し」との批判から作り出された。郷里で代用教員をした後に上京した晋平は、劇作家島村抱月の書生になり、文学の志との間で揺れながら苦学して東京音楽学校(現・東京芸術大)で学んだ。長野県出身の作家和田登さんは著書「唄の旅人 中山晋平」の中で、日常的な日本語や無理のない発声を前提とした曲作りに腐心する姿を伝えている。

館内には古いレコードや自筆の楽譜などのゆかりの品が展示されている=いずれも長野県中野市の中山晋平記念館で

館内には古いレコードや自筆の楽譜などのゆかりの品が展示されている=いずれも長野県中野市の中山晋平記念館で

 さらに、松井須磨子が歌った流行歌「カチューシャの唄」や、「東京音頭」など今で言うご当地ソングにあたる新民謡もたくさん作曲し、大正から昭和初期に日本中を熱狂させた人でもある。記念館では自筆譜をはじめ蓄音機や古いレコード盤などのゆかりの品、パネル展示で足跡をたどることができる。

 ところで今、学校の音楽の教科書にはJポップが増え、昔ながらの歌は減りつつある。そんな時代の流れもあり、青木和美館長は「何げなく子どもが口ずさめる童謡を受け継ぎたい」と情熱を注ぐ。晋平の曲は今もさまざまなアレンジを生み続けていて、記念館で知ることができる。節目の今こそ、たくさんの人と一緒に歌ってみたい。 (南拡大朗)

 ▼ガイド 開館時間は午前9時~午後5時。12~2月は午前9時半~午後4時。休館日は12~3月の月曜と年末年始。大人300円、高校生150円。4月22日に晋平の誕生日(3月22日)の記念祭を行う他、童謡100年にちなんださまざまな催しを計画している。(電)0269(22)7050。また、中野市には「故郷(ふるさと)」「もみじ」を作詞した国文学者、高野辰之の記念館もある。

(中日新聞夕刊 2018年3月1日掲載)

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