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【和歌山】熊野本宮大社 和歌山県田辺市

ジャンル・エリア : 展示 | | 文化 | 歴史 | 神社・仏閣 | 近畿  2018年03月15日

大斎原に向かって歩く平安衣装を着たグループ

大斎原に向かって歩く平安衣装を着たグループ

節目の年 にぎわう聖地

 熊野三山の1つで、各地にある熊野神社の総本宮にあたる和歌山県田辺市の熊野本宮大社が、創建2050年を迎えた。節目の年とあって、にぎわいを見せている。

 同大社の創建は紀元前33年で、旧社地の大斎原(おおゆのはら)にあったイチイの大木に熊野三所権現が降臨したとされる。まず「世界遺産 熊野本宮館」に立ち寄り、大型スクリーンの映像やパネル展示などを見てから、大斎原に徒歩で向かう。

 高さ約34メートルある大鳥居に向かって参道が一直線に続いている。周囲は水田なのだが、すぐ横に熊野川の太い流れがあってびっくり。中州にあったため、1889(明治22)年に水害に見舞われ、2年後に倒壊を免れた上4社3棟が現在ある高台に移された。

 いにしえから熊野古道をたどり、皇族や貴族、庶民が目指した地がここなのか-。そんな感慨にふけっていると、平安衣装を着たグループが通り掛かった。話し掛けてみると、同大社であった友人の結婚式にこの衣装で出席したという。

 やがて、新郎と新婦がゆっくりと歩いてきた。京都市の知典さん(27)と彩実さん(29)で「観光について学ぶため、この地を訪れてから、熊野の魅力に取りつかれました。いつか2人でこの地に住みたい」と晴れやかな表情の知典さん。2人にとっては、この地が旅の出発点でもあり目的地でもある。

 鳥居をくぐると、社殿のあった場所には、中、下各4社を祭る2つの石のほこらがたたずむ。水害前に撮影された写真や俯瞰(ふかん)図を見ながら、当時の壮麗な様子に思いをはせてみる。

 次は大斎原から5分ほど歩いて現在の熊野本宮大社に向かう。こちらは参拝者が後を絶たず、順番を待ってからお参り。檜皮(ひわだ)ぶきの屋根と重厚感のある黒ずんだ本殿が、こちらに迫ってくるようだ。紺紙に金文字で描かれた創建2050年記念の御朱印(500円)が人気だという。

創建2050年で多くの参拝者でにぎわう熊野本宮大社=いずれも和歌山県田辺市で

創建2050年で多くの参拝者でにぎわう熊野本宮大社=いずれも和歌山県田辺市で

 熊野古道を歩いて到着したばかりの大阪からの年配者グループが参拝していた。さわやかな表情は達成感に満ちていた。

 (柳沢研二)

 ▼ガイド 熊野本宮観光協会などが入る「世界遺産 熊野本宮館」は午前9時~午後5時で年中無休。入場無料。熊野本宮大社や熊野古道についての展示も充実。同大社では通常3日間の例大祭が今年は特別に4月11~15日の5日間となる。各神事のほかに11日は山川豊さんら、14日には水森かおりさんによる歌唱奉納、15日には東儀秀樹さんの奉納演奏がある。年内は宝物殿で特別拝観ができ、国指定重要文化財の鉄湯釜などを間近に見学できる。午前10時~午後4時で不定休。大人300円、子ども100円。熊野本宮観光協会(電)0735(42)0735

(中日新聞夕刊 2018年3月15日掲載)