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【三重】展望台巡り 三重県南伊勢町

ジャンル・エリア : グルメ | 三重 | | 自然  2018年03月29日

見江島展望台からハートの入り江を望むカップル

見江島展望台からハートの入り江を望むカップル

恋人の聖地“海のハート”

 熊野灘に面し、リアス海岸が続く三重県南伊勢町。うららかな陽気に誘われて、変化に富んだ海岸線を望む展望台を巡ってみた。

 東西に長い同町には多くの半島があり展望台が点在する。なかでも人気が高いのが鵜倉(うぐら)半島にある鵜倉園地で4つの展望台が整備されている。贄(にえ)湾と奈屋浦湾の間にある同半島は車で周遊できる。贄浦漁港から4キロ超ほど上ると、お目当ての「ハートの入り江」を見ることができる見江島展望台に着いた。

 駆け足で坂を上ると、視界が開けた。腕組みをして数秒後、横向きだがハートに見える。人けの少ない同エリアで、初めて居合わせたカップルの反応も「あれだね」と冷静だった。この入り江は、かさらぎ池と呼ばれ、奥には「アオサのり」のそだがある。2015年に恋人の聖地に認定され、鐘が付いたハートのモニュメントも立っている。1人で鳴らした鐘の乾いた音は海風に乗って寂しく響いた。

 こちらとは対照的に楽しそうなカップルは愛知県瀬戸市の安達翔さん(19)と鈴木麗菜さん(18)。安達さんは「初めて2人で海に来ましたが海の色がいいですね。これからもずっと2人でいたいな」と照れながら話してくれた。傍らで鈴木さんがうなずいたように見えた。恋人の聖地にふさわしい雰囲気だった。

 残りの3つの展望台も立ち寄ってみたが、それぞれ違った海の表情を見ることができる。「あけぼの展望台」は贄湾や熊野灘、「かさらぎ展望台」は南島大橋と阿曽浦大橋の親子橋、さらに「たちばな展望台」は奈屋浦湾などが望める。海岸線には荒々しい磯が続き、湾内には養殖いかだも点在する。

 昼食は同町5ケ所浦地区にある1951(昭和26)年創業の玉山食堂に向かった。同エリアではラーメンとにぎりずしのセットが定番と聞いて楽しみにしていたが、最近、にぎりずしはメニューからなくなり、ちらしずしになってしまったと聞いて残念。それでも昭和の雰囲気漂う店内で食べた中華そばのやさしい味のスープは飲み干すほどおいしかった。

新鮮な魚が並ぶ古和浦地区の「久屋」=いずれも三重県南伊勢町で

新鮮な魚が並ぶ古和浦地区の「久屋」=いずれも三重県南伊勢町で

 入り江が多い同町には浦が付く地区が多い。古和浦(こわうら)地区の町並みを散策すると「久屋(きゅうや)」という鮮魚店を見つけた。中に入ると、おかみさんが魚を前に食べ方などを教えてくれた。15種類ほどの自家製の干物は、もちろん天日干しで驚くような安さだった。夕暮れの礫浦(さざらうら)漁港では、採ってきたばかりのヒジキを家族総出で干す光景がいたるところで見られた。小学生の女の子も腰をかがめて必死に作業していた。風に乗って潮の香りがした。海の息吹を感じた一日だった。 (柳沢研二)

 ▼ガイド 鵜倉園地へは国道260号沿いに案内の青い看板がある。南伊勢町観光協会(電)0599(66)1717。玉山食堂は午前10時半~午後1時45分、午後4時半~6時。水曜定休が基本だが不定休。中華そば600円、ちらしずし300円。(電)0599(66)0124

(中日新聞夕刊 2018年3月29日掲載)