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【富山】黒部峡谷パノラマ展望ツアー

ジャンル・エリア : 乗り物 | 富山 | | 自然  2018年06月21日

パノラマ展望台からは鹿島槍ケ岳や唐松岳など後立山連峰を間近に望むことができる

パノラマ展望台からは鹿島槍ケ岳や唐松岳など後立山連峰を間近に望むことができる

竪坑上り険谷が眼下に

 富山県黒部市の黒部峡谷鉄道の終点から、さらに黒部の懐に入り込む同県や同市、関西電力などが連携した企画「黒部峡谷パノラマ展望ツアー」に参加してみた。

 宇奈月駅からトロッコ電車に揺られながら黒部峡谷をさかのぼる。谷筋の雪渓、エメラルドグリーンの水をたたえたダム、黒部川の奔流などに癒やされた。既に満たされた気分だったが、ここからがツアーの本番だ。

 終点の欅平(けやきだいら)駅ではヘルメットを着用して、通常、関係者しか入ることのできない関電の施設に入る。薄暗くひんやりとした内部は観光客の歓声も聞こえない。トンネルを電気機関車で580メートル走ると、竪坑(たてこう)エレベーターの入り口に到着。ダム建設資材などを運ぶために昭和初期に造られ、36人まで乗ることができ、貨車まで運べるという。

関西電力の電気機関車を降りて高低差200メートルの竪坑エレベーターに向かう=いずれも富山県黒部市で

関西電力の電気機関車を降りて高低差200メートルの竪坑エレベーターに向かう=いずれも富山県黒部市で

 係の人の説明を受けながら、エレベーターに入り、標高約600メートルから2分で約800メートルまで上昇。扉が開くと、またトンネルで、ライトがぼんやりと浮かび上がる。少し歩くと、ぽーんと外に飛び出した。ここが竪坑展望台で周囲の山々が望める。

 再びトンネルに戻る。さらに奥には2002年の紅白歌合戦で中島みゆきさんが「地上の星」を歌った場所があるという。水の滴る軌道で黒部の開発に携わった先人たちの苦労に思いをはせながら、先を行く年配女性の「よくもまー、ここまでやったもんだよね。すごいよね」という言葉にうなずく。

 外からの明かりに向かって階段を上りきると上部トンネル出口だ。ここからは軽い登山。手すりロープまであって、すいすいと行けた。15分ほどで、目的地のパノラマ展望台(標高約860メートル)に着いた。少し雲はかかっていたが、鹿島槍ケ岳や唐松岳といった後立山連峰はもちろん、背後には残雪の毛勝三山、眼下には、幾筋もの黒部の険谷がある。

 初めて黒部を訪れたという名古屋市昭和区の女性は「天気に恵まれてよかった。これだけスケール感のある景色を見ることができるなんて」と感激した様子だった。明と暗の世界を出たり入ったりしたせいか、この360度のパノラマは刺激的だった。

 (柳沢研二)

 ▼ガイド 黒部峡谷パノラマ展望ツアーは11月12日までの金-月曜に開催。1日4便で所要時間は約6時間。黒部峡谷トロッコ電車・宇奈月-欅平駅の往復普通席の乗車料金込みで中学生以上6000円、小学5、6年生4000円。4日前までに要予約。歩きやすい服装で参加を。黒部・宇奈月温泉観光局(電)0765(57)2850、観光販売システムズ(電)050(3775)4727

(中日新聞夕刊 2018年6月21日掲載)