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【長野】時止まる静寂の町並み 海野宿

ジャンル・エリア : グルメ | 文化 | 歴史 | 特産 | 甲信越  2018年10月18日

静かなたたずまいで、のんびりと町歩きが楽しめる海野宿

静かなたたずまいで、のんびりと町歩きが楽しめる海野宿

 長野県東御(とうみ)市に静かに町歩きを楽しめる海野(うんの)宿がある。中山道と北陸道を結ぶ北国街道の宿場として栄えた同宿。真田氏にゆかりの深い白鳥神社を過ぎて、宿の入り口に立ち、その光景に目を見張った。

 まっすぐ続く、電線のないすっきりとした町並みは延べ650メートルで、江戸期の旅籠(はたご)造りと明治期の養蚕造りの建物が立ち並ぶ。中央には石組みの水路があり、舗装されていない路地もある。千曲川沿いだからなのか、川風が吹き抜け、ヤナギの枝やハギの花が風に揺れる。

 藤沢周平の小説に出てきそうな町並みで、今にも木戸をあけて武士や商人が現れそうなたたずまいだ。のんびりと巡る夫婦がいた。埼玉県幸手市の山本さん夫婦は「落ち着いた雰囲気の宿場町でびっくり。周囲の田園風景にも調和していいですね」と話していた。

 各家の格子が美しい町並みを行くと、煙を出すために設けられた小屋根やうだつのある家などがある。同宿は国の重要伝統的建造物群保存地区で、日本の道百選にも選定されている。これだけの規模なのに人通りが少ないのにびっくり。名だたる宿場町に比べて食事処(どころ)や土産物店は少ないのだが、静寂空間にひかれた。同市はクルミの生産日本一で、名物「くるみおはぎ」をいただいた。クルミの実の粉をまぶしたもので、甘さ控えめでも香ばしさがあった。

角打ちスタイルの関酒店(後方)近くには肩を寄せ合った道祖神も=いずれも長野県東御市で

角打ちスタイルの関酒店(後方)近くには肩を寄せ合った道祖神も=いずれも長野県東御市で

 同市には「ヴィラデストワイナリー」やチーズ工房「アトリエ・ド・フロマージュ」といった、販売所やレストランを備えた人気の施設もあるが、角打ちスタイルで今年オープンした関酒店もお薦め。閉店した酒店を地元有志らが復活させ、山村の酒屋さんといった雰囲気。地元のワインや日本酒、ビールなどがそろい、購入したら、そのまま店で飲むことができる。ここは16畳の座敷や屋外テラス、さらに蔵まで無料開放している。女子会などの予約もあるという。

 店近くにペアの道祖神があり、グラスを手に肩を寄せ合っているように見えた。次は夕日が美しいという屋外テラスで、地元のワインを味わってみたい。 (柳沢研二)

 ▼ガイド しなの鉄道・田中駅を起点に海野宿、関酒店、ヴィラデストワイナリー、アトリエ・ド・フロマージュ、道の駅雷電くるみの里などの観光スポットを巡る周遊バス「まるッと信州とうみ号」の利用が便利。11月末までの土日祝日運行。1日乗車券2000円。同宿には海野宿資料館やなつかしの玩具展示館などもある。11月4日午前9時半~午後3時半には時代衣装行列や甲冑(かっちゅう)隊行進などがある「海野宿ふれあい祭」が開かれる。信州とうみ観光協会(電)0268(62)7701

(中日新聞夕刊 2018年10月18日掲載)