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【静岡】富士の絶景 心晴れ晴れ 静岡市清水区

ジャンル・エリア : | 特産 | 神社・仏閣 | 自然 | 静岡  2019年01月10日

日本平夢テラスの展望回廊から富士山を望む人たち。右は展望施設

日本平夢テラスの展望回廊から富士山を望む人たち。右は展望施設

 富士山を望む名勝地として名高い静岡市清水区の日本平に新たな観光スポット「日本平夢テラス」がオープンした。富士山をはじめ、駿河湾や三保松原、伊豆半島、南アルプスの展望が楽しめるとあって、多くの人でにぎわっている。

 同テラスのシンボルは3階建ての展望施設。1階は日本平の歴史や地理などをタッチパネルなどで紹介し、2階はラウンジでカフェがある。地元の茶葉を使った煎茶やほうじ茶、「La香寿(ラこうじゅ)」と呼ばれる果実のような香りのする酵素発酵茶が味わえる。お茶どころとあって茶漬けや抹茶デザートなどもある。

 3階の展望フロアに上ると、屋外に出て、心ゆくまで富士山を眺めることができる。清水の町並みや港の向こうに富士山がたたずむ。少しかすんでいたものの、冠雪した部分はしっかりと浮き上がっている。浜松市から訪れた年配夫婦は「富士山は何度見ても、いつまで見ても飽きることがありません。偉大ですね」と語っていた。日々のストレスや悩みも、しっかりと受け止めてくれるような貫禄もあるように感じた。

 隣接する展望回廊は八角形で1周200メートルある。富士山だけでなく静岡市の中心街や駿河湾などを歩きながら360度のパノラマで満喫できる。この回廊は24時間開放されているので、夜景や日の出なども見ることができる。飽きることのない光景を前に、いつの間にか数時間がたっていた。

江戸初期の代表的建造物で国宝の久能山東照宮の社殿=いずれも静岡市清水区で

江戸初期の代表的建造物で国宝の久能山東照宮の社殿=いずれも静岡市清水区で

 続いて、近くにある日本平ロープウェイを利用して標高差100メートル近くを下り、久能山東照宮へ。総朱塗りで極彩色の社殿(国宝)を過ぎ、神廟(しんびょう)に向かう。徳川家康の遺体が収められている高さ5.5メートル、外回り8メートルの石造りの塔はどっしりと西に向いている。

 社務所近くにあった東照宮博物館がすごかった。家康愛用の具足、書棚、机、つえなどの愛用品が展示されている。収蔵品は約2000点あり、スペイン国王から海難救助のお礼として家康に贈られた洋時計まである。食い入るように見つめる若い女性も数人いて、家康ファンならずとも一度は訪れたいスポットだ。

 日本平に戻り、また1時間かけて富士山を眺望。この山をこよなく愛した評論家の徳富蘇峰(1863~1957年)が「天下の絶景」と呼び、日本平を世に紹介したのに納得した。 (柳沢研二)

 ▼ガイド 日本平夢テラスへはJR静岡駅発日本平ロープウェイ行きバスで約40分。同施設はいずれも入場無料。展望施設は日-金曜が午前9時~午後5時、土曜は午後9時まで。第2火曜休館。(電)054(340)1172。日本平ロープウェイの往復運賃は1100円。(電)054(334)2026。久能山東照宮は社殿参拝と博物館の共通券が800円。(電)054(237)2438

(中日新聞夕刊 2019年1月10日掲載)