【スロヴァキア】四季とともに暮らす
2012年5月 7日
ブラチスラヴァに住み慣れてきたのか、この街でも意外なほどに季節を感じるようになりました。冬のあいだは閑散としている市場も、春の訪れとともに次第ににぎわうようになります。
ラムソンというギョウジャニンニクのようにニンニク臭のする山菜は、スズランが芽を出すまでの短い間だけのお楽しみです。毒性のあるスズランとよく似ているため、まちがえないようにスズランが芽を出すと、摘まなくなります。
山を歩いているとフキを見つけたこともあります。フキに相当するチェコ語「デヴィェトシル」は20世紀初頭の芸術運動の名前にもなりました。ただ、アクが非常に強く、いくら水にさらしてもうまく抜けませんでした。
四季が日本人特有の感覚を育んだといわれることもありますが、日本ほどには明瞭ではないにしても、ヨーロッパにも四季はあり、人びとは季節とともに暮らしています。とくに厳しい冬のあとに訪れる春には格別のものがあります。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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