【スロヴァキア】世界遺産の街バルデヨフ 3 ユダヤ人の影
2012年12月24日
スロヴァキアやチェコの街を調べていると、必ずぶつかる大きな壁があります。それはユダヤ人の存在です。バルデヨフもまたユダヤ人が大きな勢力をもつ街でしたが、第二次世界大戦中、そのほとんどが収容所に送られ、いまはユダヤ人はひとりも住んでいません。
ユダヤ人がバルデヨフに住みはじめたのは、プラハなどと同様、中世のはじめだったといわれています。街を追放されたり、再び迎えられるなどの試練も経ています。
バルデヨフにはとくにユダヤ人街として、整備されている地区はありません。しかし、旧市街の外れにある商店にかつての沐浴場があるのを目の当たりにして、驚かされました。さらには廃墟となったユダヤ教会も残っていました。
世界遺産の街に残るユダヤ人の痕跡を保存し、後世に伝えようと活動する郷土史家もいますが、反応はいまひとつのようです。歴史をきちんと知ることはとても大切なことです。しかし、世界どこでも、無関心になりがちです。
写真=ユダヤ教会の内部
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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