【オーストリア】ウィーンのユダヤ人
2015年9月28日
オペラ座の裏手から王宮に向かう道の途中、ちょうどアルベルティーナ美術館の前のあたりに、不思議な像があります。
ひざまずきながら道をこする老人像は、ウィーンで暮らしたユダヤ人を描いています。なんとも屈辱的な姿ですが、実話に基づいています。鉄条網が身体に巻きつけられているのは、逃れられない運命を暗喩しています。
オーストリアは第二次世界大戦中、ドイツに併合されました。この間、ウィーンに住む6万5000人あまりのユダヤ人が絶滅収容所に送られ、生き残ったのはわずか2000人あまりだったといわれています。
ナチスの反ユダヤ主義が背景にあるのですが、その根源には戦前、多くのユダヤ人が成功者として社会の中心を占めていたことへの反発がありました。
ヨーロッパを理解するうえで、ユダヤ人の問題を把握することはきわめて重要な課題です。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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