【チェコ】ブルノ・ビエンナーレの混沌
2016年9月 5日
チェコ第二の街ブルノで開かれる国際グラフィックデザインビエンナーレは、1963年にはじまり、今年第27回を数えた歴史ある展覧会です。
このビエンナーレは「鉄のカーテン」と呼ばれた社会主義の時代、グラフィック・デザインを通じて国際交流を図りたいとの思いからはじまりました。ポスターデザインとブックデザインを交互で開催し、毎回、市民がとても楽しみにしている展覧会として知られます。
ビエンナーレに大きな異変が起きたのは2012年のことでした。ポスターや書籍という区別を廃止したのにはじまり、グラフィック・デザインの枠さえ飛び越えて、まるでコンセプト・アートの展覧会のようになったのです。
第27回のビエンナーレもコンセプト・アート路線を踏襲しています。でも、市民にそっぽを向かれ、会場は閑散としていました。日本のグラフィック・デザイナーにもなじみ深い国際展の行方が気になりますが、ビエンナーレの原点に立ち戻るべきという意見が現地では多いようです。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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