【ハンガリー】建築のディテール
2018年3月19日
ブダペストには、全体にもまして細部がおもしろい建築が多い気がします。正面ファサードのデザイン、扉のデザイン、屋根瓦、教会の尖塔、駅などのタイルなどさまざまなディテールに、フランスやドイツとは明らかにちがうセンスが見て取れます。
写真の門扉はとくに有名な建築のものではなく、ごくありふれた集合住宅のものですが、とても力強いものがあり、思わず見入ってしまいました。1867年、アウスグライヒにより「オーストリア=ハンガリー二重帝国」と呼ばれる国ができあがって街が大きく発展していきます。市民一人ひとりが抱いたであろう誇りを門扉に感じました。
世紀末から20世紀はじめにかけて、装飾過剰なアール・ヌーヴォーの時代を経て、装飾の少ない機能主義的なデザインへと推移していきます。この間、多くのチェコ人やスロヴァキア人がブダペストで建築を学びました。
こうした建築家による建物がプラハやブラチスラヴァにはいくつもあります。だからといってブダペスト的な建築があるかというとそんなこともないのがまた興味深いです。建築は風土に根ざすものがあるからでしょうか。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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