【チェコ】ズノイモ紀行 機能主義建築
2019年4月 1日
ブルノにあるトゥーゲントハット邸は、ドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエによる代表的な機能主義建築として知られています。
機能主義は、しかし、ミースばかりではなく、この時期の多くの建築家が取り入れ、プラハやブルノに家を建てました。トゥーゲントハット邸だけではないということです。
ズノイモにもマレショヴァー邸という機能主義の家が眺めのよい場所にありました。ヤン・ヴィーシェクというブルノの建築家が、ズノイモの市長を務めたヨゼフ・マレシュのために、1931年から32年にかけてつくったものです。トゥーゲントハット邸は1928年から30年に建てられたので、時期的にも重なります。
3階建ての建物は現在、会社が使っていて、外から眺めるしかありません。屋上があるなど、実に近代的なのがわかります。マレシュ市長がここに住んだのは1938年までです。ミュンヘン協定でズノイモがドイツに占領されたからです。そして、テレジーンの強制収容所で亡くなります。チェコの歴史を少しでもひもとこうとすると、決まってこうした悲劇に出会います。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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