【チェコ】ズノイモ紀行 フス戦争の影
2019年4月 8日
ズノイモは15世紀におこなわれたフス戦争の舞台のひとつでした。フス戦争とは宗教戦争の先駆けで、カトリックとプロテスタントのフス派がぶつかりました。ズノイモはカトリック勢力が強かったのですが、一時フス派が勢力を強めたものの、カトリックが巻き返しました。
チェコにキリスト教がもたらされたのは9世紀のことで、他のヨーロッパ地域に比べて遅いものがありました。そのため純粋に信心を強める傾向にあり、教会は腐敗していると疑いのまなざしを向けます。フス派がチェコで生まれた歴史的な背景です。
神聖ローマ帝国(現在のドイツ、オーストリア、チロル、そしてチェコを含む)の皇帝ジギスムントは「フス派に対する十字軍」を組織し、戦争を静めようとしますが、戦術に長けたフス派の前にことごとく敗れます。
戦争は20年近くつづき、ボヘミアの地を荒廃させます。皇帝ジギスムントは終結を待たずにズノイモで死に、いまも残る聖ミクラーシュ教会に安置されました。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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