【スロヴァキア】建築家ザハへのリスペクト
2019年7月 8日
ブラチスラヴァではいま、バスターミナルを中心とした再開発が進んでいます。周辺は社会主義の時代、工場などがあったのですが、長らく更地になっていました。
ブラチスラヴァにはほとんど高層ビルがなく、見本市会場にあるホテルがいちばん目立つかなという程度でした。それがこの再開発で高層ビル(といってもせいぜいい30階建なので、日本のタワマンの半分程度ですが)がいくつも建ち並びはじめました。
スカイパークという建築中のマンションは同じ円筒形デザインの高層ビルが3棟並ぶところから、再開発地域でもとくに目を惹きます。そこに建築家ザハ・ハディッドの大きな肖像写真が掲げられていました。
ザハといえば新国立競技場のデザインコンペで選ばれていながら白紙撤回され、東京オリンピックにまつわるゴタゴタのひとつとして、日本の建築史に刻まれています。なかなか奇抜なデザインなのが建築中でも見て取れるのですが、やはりあのザハが設計したものでした。
いわゆる「億ション」になるので庶民にはとても手が届きませんが、社会主義が終わって30年の月日が経ち、ブラチスラヴァの街にもそれだけ富裕層が生まれているということなのでしょう。
ホームページにはスロヴァキアを代表する建築家デュシャン・ユルコヴィチュの紹介もあり、施工主はきっと建築が好きなのだろうと思わせるほど、先人へのリスペクトがにじみ出ています。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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