【香港】喧噪の魅力
2020年6月 1日
香港は世界的に見ても、実に魅力のある街だと思います。金融都市として発展した豊かな街でありながら、人びとの生活がそこかしこに息づいているからかもしれません。
たとえばビルとビルの谷間にある小さな町工場はそのひとつです。ビルの一階部分で自動車を修理したり、看板をつくったり、あるいは空き缶をプレスしたりしているのです。当然、音がするのですが、さまざまな音と混じり合い、香港ならではの賑わいをもたらしています。
そんな工場のすぐ近くには決まって地元の人が集まるおいしい店があります。香港名物でもある雲呑麺や粥も、観光ガイドに載っていないこうした店のほうがお店の人とのやりとりを含め、鮮烈な記憶を残すものです。
記憶をさかのぼれば1980年代までの東京も似たようなものだったこともあり、香港の街角に懐かしさを覚えます。騒音がする、汚いといった理由から嫌われ、バブルのころの再開発でその多くが姿を消していきました。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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