【スロヴァキア】お墓で感じる歴史
2021年2月14日
街が秘める本当の歴史を知るにはお墓を訪ねるがいい。そんな言葉があるかどうかはわかりませんが、博物館にも増してリアルに歴史を感じさせることがあります。
ブラチスラヴァの旧市街地区には思わぬところにお墓があります。日本でもビルの谷間に墓地があるのと同じです。なかなか大きな墓所が多く、目を惹く彫刻が添えられていたり、凝った装飾のあるものもあります。
富を見せつけているようで、きっと街の有力者だったにちがいありません。それにしては墓石が倒れ、無縁仏になっているところが少なくないのです。どうしたのだろうと考えあぐねるところですが、その多くは墓碑に刻まれているのがスロヴァキア語ではなく、ドイツ語であるのにすぐ気づきます。
スロヴァキアがチェコスロヴァキアとして独立する第一次世界大戦前、ブラチスラヴァの人口はドイツ人とハンガリー人がそれぞれ4割を占め、スロヴァキア人はわずか15%にすぎなかったのです。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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