【スロヴァキア】古い写真が語る歴史
2021年5月10日
日本人の目からすると、ヨーロッパの古い街並みに、なんとなく中世の面影を見て取ることが多いかと思います。
でも、古色蒼然とした教会の尖塔が実際には意外に新しく、19世紀後半から20世紀前半に増設されたものだとの事例は少なくありません。プラハ城を特徴づける尖塔にしてもそうです。
あるべきものが街から消えた事例もあります。シナゴーグ(ユダヤ教会)はそのひとつです。ホロコーストによって住人を失い、取り壊されたり、別の建物に転用されたのです。
ブラチスラヴァの旧市街に聖マルティン大聖堂と隣合わせるようにしてあったシナゴーグ(=写真)も、戦後1960年代に壊されてしまいました。道路工事が目的でした。
比較的最近なこともあって、写真がいくつも残されています。そうした写真を見ていると、いまとはまったくちがう街の様子が見えてきます。リアルな歴史をいまに伝える、最高の観光ガイドです。
- 増田 幸弘
1963年東京生まれ
スロヴァキアの都・ブラチスラヴァ在住のフリー記者。
ヨーロッパ各地を取材しながら、日本でも取材。新聞・雑誌に特集記事や連載記事を執筆している。
「プラハのシュタイナー学校」(白水社)や「プラハ カフカの生きた街」(パルコ出版)などの著作がある。
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