間もなく50歳という年齢になって、自分の中で変化を感じてることの一つに、食に対する異常な執着がある。若いころに較べるとより食べることに卑しくなっているのだ。もちろん、世の中のオヤジがみなそうだということはないのだが、少なくともボクの場合は意地汚いのである。しかもお酒もすこぶる好きなケースの多い、オヤジという生き物なので、まるでそれが人生において最も重要なことであるかのように、「食いてーのみてー」といつも頭の中でつぶやいているのである。そんなボクが代表を務める会社なので、当然のように食に関する取材が多く、友人、知人から「今話題のラーメンやさんは？」とか「小樽のおいしいおすしやさんは？」などとよく聞かれる。

特に北海道に旅行に来るとしたら、やっぱり新鮮な魚介類、特に「おすしは絶対食べてから帰りたい！」というのが北海道観光の王道かもしれない。先日、札幌の出版社からの依頼で札幌のおすしやさんを数十軒取材した。北海道はおすしがうまい！というイメージは決して間違いではないのだが、かといって北海道のおすしやさんがどこもおいしいなんてことは当然有り得ないのだ。(でも平均すると安くておいしいと言えるかも)     で、今回紹介するのは店主いわく、中日新聞の人たちも札幌出張時に寄ることが多いという、お手ごろ料金で北海道らしいおいしいおすしを食べられる店、鮨匠「嵯峨野(さがの)」をご紹介しましょう。

JRさっぽろ駅からタクシーで15分ほどで北海道神宮や円山公園といった市民や観光客が集まるスポットがあり、その周辺の高級住宅街にある、すし一筋33年という店主・小山内時勝の店、鮨匠「嵯峨野」に到着。早速小山内さんに聞くと夏のオススメ食材はエゾバフンウニ。甘くて濃厚な味わい、色はきれいなだいだい色。北海道洞爺湖サミットの夕食会にもエゾバフンウニが使われたというくらい誇り高き海の幸なのだ。

小山内さんが今回握ってくれたのは石狩産のエゾバフンウニ。しかもミョウバンなど一切使わず減菌海水につけてパックされる「塩水ウニ」。しょう油をつけないでそのまま食べちゃっても、まさにこれぞ北海道というおいしさ。ちなみに今年の３月、映画「クロサギ」のプロモーションで来札したタレントの山下智久にボクがインタビューしたとき、北海道・小樽のおすしやさんでそれまで嫌いだったウニを食べて、そのうまさに、それからは大好きになったと言っていた。実はそういう人珍しくなく、最初にまずいウニにあたって、それから食べられなくなった人も結構いるそうなのだ。「エゾバフンウニは夏が一番かもしれないけど、一年を通して、いいものを仕入れるようにしています」と小山内さん。是非、鮨匠「嵯峨野」でエゾバフンウニをどうぞ。