月イチで会える「ゑんま様」
2021年2月18日
本格的な春が待ち遠しい京都からこんにちは。
4月には、心も足どりも今より軽くなっていることを祈るばかりです。
京都には、たとえエイプリルフールでも絶対に"嘘をつけない"場所があります。
それは、千本通の廬山寺通を上がった(または鞍馬口通を下がった)あたりの「閻魔前町(えんままえちょう)」。
その名のとおり、冥界をつかさどる"ゑんま様"がにらみをきかせている一帯です。
閻魔前町の「千本ゑんま堂 引接寺(いんじょうじ)」に、そのゑんま様がいらっしゃいます。
ご本尊が閻魔法王像という珍しいお寺なのですが、普段、ゑんま様の姿は非公開。
毎月16日の「ゑんま様の御縁日」にその姿が公開されるとあって、拝観してきました。
このご時世で参拝者も少なく、ゑんま様も少しさみしそうな気がします。
閻魔法王像は写真撮影が禁止されているので、目と心でその姿を焼きつけました。
その恐ろしい表情から、冥界にやってきた死者の魂を容赦なく地獄へ落とすと思われがちなゑんま様。
じつはお地蔵様の化身で、人間にもっとも身近な立場の仏様といわれています。
裁判の際に、魂を三悪道(地獄道・餓鬼道・畜生道)へ行かせないようにするのも、ゑんま様の大切な仕事。
鬼のような形相で「嘘をつくと舌を抜く」と説くのは、ゑんま様のホトケゴコロなのですね。
社務所では「ゑんま様のお目こぼし」や「閻魔みくじ」など、縁起物の授与も。
「ゑんま様のお目こぼし」は、ゑんま様のお下がりのもち米で作られたというあられ。
厄除招福や無病息災のご利益があるとされています。
また、境内で出迎えてくれる「ゑんま法王像」は、地域の消防団が奉納したものだとか。
ゑんま様の後方には、平安時代の公卿(くぎょう)・小野篁(おののたかむら)の像も。
小野篁はあの世とこの世を行き来する神通力を持ち、夜ごと冥界でゑんま様の助手をしていたという伝説の人物。
千本ゑんま堂 引接寺は、小野篁がゑんま様のお導きによって開基したといわれています。
こちらの「ゑんま法王像」は、毎日お目にかかることができますよ。
千本ゑんま堂 引接寺の周辺には、ゑんま様にちなんだお店の看板なども(シャッターは下りています)。
町内の掲示板にも「閻魔前町」としっかり記され、ゑんま様の町というのが伝わってきます。
ゑんま様のことを知れば知るほど、慈悲深いゑんま様に会いに行きたくなりますね。
千本ゑんま堂 引接寺があるのは「西陣(にしじん)」とよばれるエリア。
西陣は、京都の伝統工芸の「西陣織」で知られる織物のまちです。
千本ゑんま堂 引接寺の前を走る千本通で交差する寺之内通。
千本寺之内を東へ10分ほど歩いた角に、明治期に創業の「たんきり飴本舗」があります。
看板商品の「たんきり飴」は、ホコリっぽい環境で仕事をする西陣織の職人さんの喉を守ってきたという西陣名物。
舌を抜くといわれるゑんま様と、痰(たん)を切るという飴は、なんだか相性がよさそうだと思いませんか?
香料などは使用せず、天然のショウガの風味が効いた素朴な味わいの飴。
製法は秘伝とのことですが、まったく嘘のない味でゑんま様も気に入るのではないでしょうか。
■千本ゑんま堂 引接寺(せんぼんえんまどう いんじょうじ)
京都市上京区千本通廬山寺上ル閻魔前町34
市バス停千本鞍馬口から徒歩3分
■たんきり飴本舗(たんきりあめほんぽ)
京都市上京区大宮通寺之内下ル花開院町107
市バス停堀川寺ノ内から徒歩3分
- 賀茂 ナス子
京都生まれ、京都育ち。
中学は吹奏楽部、高校は茶道部に所属、そして大学時代はアメフト部のマネージャーを経験。
やりたいことは何でもやってみるのがモットーだ。
念願だった京都の編集プロダクションに入社し、京都のフリーマガジン[news]や京都に関する旅行誌などの編集・ライターを担当している。
友達に舞妓さんがいるのがちょっとした自慢。
愛犬は柴犬。二条城のまわりを散歩するのが日課だ。
好物は京都[第一旭]のラーメン。
おやつは[出町ふたば]の豆もち。
最近名古屋がわりと近いことを知った。
京都はうす味の料理が多いので、みそカツをはじめて食べたときごはんを3杯食べた経験を持つ。
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