山鹿 八千代座
2011年11月 7日
今回の「ぶらっ人 from 福岡」は、熊本県山鹿市の「千代座」をご紹介します。
「八千代座」は、1911(明治44)年に完成した芝居小屋で、和風と洋風建築の長所を取り入れています。歌舞伎をはじめ、映画、浪曲や音楽会などが催されて来ました。昭和40年以降、テレビの普及もあり、興行が下火となり閉鎖された時期もありましたが、山鹿市民が地道な活動を展開して再開。1988(昭和63)年、国重要文化財に指定。1996(平成8)年、"平成の大修理"で往年の姿に見事甦りました。
「八千代座」の外観。正面の妻壁に太鼓櫓があります。昔は、ここから太鼓を響かせ芝居があることを街に知らせていました。
「八千代座」の見学は、正面の「夢小蔵」で入場料520円を支払います。
「夢小蔵」は、300年以上の歴史を持つ豊前街道沿いの土蔵を八千代座資料館として再生。芝居や映画の小道具(上)、「八千代座」に縁の深い坂東玉三郎の衣装(下)などが展示されています。
建物正面の木戸(上)と、往時を偲ばせる催し物板(下)。
案内人の先導で建物内部に入ります。「八千代座」がもっとも賑わった大正時代の姿に復元されています。建設当時の定員は1,274人、現在は約650人です。
下手(上)、上手(下)。通常、芝居小屋では、上手が一番いい席だそうです。
1階平土間は芝居が見やすいよう、傾斜がついています。枡席には、当時8人が座りましたが、現代の人たちの体型だと狭すぎますね。
舞台に上がってみます(上)。
廻り舞台から見た客席(下)。
花道には、スッポンと呼ばれるみこし状の台があり、芝居では忍者や妖怪が登場します。
舞台そでには、江戸時代から伝わる芝居小屋のさまざまな仕掛けがあります(上)。
舞台天井は、ぶどう棚と呼ばれます(下)。丸竹を縄で格子状に組み、ここから雪や花吹雪を降らせます。
奈落は、舞台や花道の床下(上)。役者を舞台に迫り上げる、せり(下)。
舞台の横には、楽屋が残されています。昔の人の体型に合わせ天井が低いので、現在では使われていません。
2階から見渡した舞台や客席。
残存していた資料を参考に、天井に広告画を再現。天井に60枚、壁に21枚があり、現在も山鹿で営業しているお店もあります。当時は、ガス燈だったシャンデリアも復元されています。
山鹿も温泉地として知られていますが、現在大人気なのが平山温泉。山鹿から車15分ほどの田園地帯にあります。
10室の貸切風呂がある「家族温泉 湯の川」へ。各部屋にそれぞれ異なる内湯と露天風呂が設けられています(上)。
平山温泉の泉質は硫黄泉(下)。ぬるぬるとした肌触りは、美肌の湯として知られ、女性に特に人気です。
- 東 淳二郎
1957年7月9日生まれ 北九州市門司区出身 56歳
印刷会社のサラリーマン生活を経て、1990年からフリーライターに。
雑誌の取材で、九州中の観光地を訪れ、グルメや温泉を堪能している。
また、もの心ついた時から鉄道ファンで、"乗り鉄"。国内はもちろん、海外でも時間をみつけては鉄道旅を楽しんでいる。