魔女の噴水(1)
2015年2月 2日
今回は魔女街道沿いにある噴水めぐりをしてみよう。魔女迫害の歴史と結びついた「魔女の噴水」はぜひとも見ておきたい。また、ドイツで見かける古めかしい噴水やちょっと風変わり噴水なども見て楽しみたい。
☆シューベルト作曲ミュラー作詞「泉に沿いて繁る菩提樹・・・」(近藤朔風訳)のモデルとなった「泉」はこんな井戸だった。
(バート・ゾーデン・アレンドルフ)
☆こんな井戸もある。(ザールフェルト)
☆このような噴水が町中にあると心が和む。(ホーフガイスマル)
☆しばし立ち止まって耳を傾けたくなる。(ドーナウエッシィンゲン)
☆「ワインの噴水」。たくさんの乳房はぶどうの実だろう。ワイン祭りのときは本物のワインが流れるそうだ。(黒い森地方ギューグリンゲン)
黒い森地方の小さな町レッフィンゲンで見た魔女の噴水は派手な魔女が水盤の上に立っている独特な噴水だった。この地域は2月に行われるファスナハト(謝肉祭)の盛んな地方である。人々は恐ろしいお面をつけて練り歩き、冬の魔を祓う。レッフィンゲンではこの謝肉祭をなぜか「ヴァルプルギスの夜」(当ブログ10月掲載)と呼んで祝っている。ちなみに2015年の謝肉祭は2月22日から始まる。
☆魔女の噴水(1975年)
☆ファスナハトではこのようなお面の魔女が多い
☆同じファスナハトでもやさしい道化師(愚者)の噴水。(ドーナウエッシィンゲン)
16世紀から17世紀にかけて、アウクスブルク(バイエルン地方)にも魔女迫害の嵐が吹き荒れた。魔女としての死刑の判決を受けた人々は市門のそばにある井戸で最後の水を飲んで、処刑場に連れて行かれた。その井戸のあった場所に今は「格子に入れられた魔女像」が立っている。鳥肌が立つような魔女の噴水である。
☆市の外壁に接した「魔女の噴水」(1925年)
☆「魔女の噴水」
((2)に続く)
- 西村佑子(にしむら・ゆうこ)
うお座。早稲田大学大学院修士課程修了。
青山学院大学や成蹊大学の講師を経て、現在はモアビートプロモーションの「ドイツセミナー」講師。
これまでに「グリム童話の魔女たち」展(栃木県いしばし町グリムの館)の企画・監修やドイツ魔女街道ツアーの同行講師、
薬草専門誌に連載記事を掲載するなど、ドイツの魔女と薬草にかかわってきた。
主な著書に『グリム童話の魔女たち』(洋泉社)『ドイツ魔女街道 を旅してみませんか?』(トラベルジャーナル)、
『魔女の薬草箱』『不思議な薬草箱』(いずれも山と溪谷社)、『ドイツメルヘン街道夢街道』(郁文堂)など。