魔女展さまざま(1)
2015年4月 3日
1979年、ドイツにおける初めての魔女展がハンブルクの民族博物館で開かれた。主催は館内にある魔女研究所だった。この研究所は、20世紀になってもまだ魔女偏見で苦しんでいる人々を救うために活動していた元教師ヨーハン・クルーゼによって設立されたものである。
☆ハンブルク民族博物館正面
☆ヨーハン・クルーゼ
☆魔女研究所の部屋。奥には膨大な資料が保管されている
ある年、この研究所主催で面白いイベントが行われた。小学生を対象に館内でお泊まりして「魔女の森で一夜を」過ごすというのである。申し込みしたら、寝袋持参でどうぞと言われた。しかし、その日は残念ながら新学期が始まったばかりで、生徒が集まらず中止という知らせを前日に受けた。残念!
☆8歳の子どもが描いた魔女(ハンブルク魔女展カタログより)
☆10歳の子どもが描いた魔女(同上)
数年前に、この研究所は閉鎖されてしまった。理由は人員削減ということだが、魔女迫害が今ではもう歴史的に精算されたと考えられたのだろうか。そうだとしたら、それもよしなのかもしれない。研究員のココットさんは「いつか必ず再開させる」と言っていたが。
☆ハンブルク中心部でもこんなに美しい風景が見られる
☆市庁舎前にはしばらく住んでいた詩人のハイネの像がある
☆聖ニコライ教会(ハンブルク)
第二次世界大戦で爆撃を受けて廃墟となり、今は記念碑的役割を担っている
((2)へ続く)
- 西村佑子(にしむら・ゆうこ)
うお座。早稲田大学大学院修士課程修了。
青山学院大学や成蹊大学の講師を経て、現在はモアビートプロモーションの「ドイツセミナー」講師。
これまでに「グリム童話の魔女たち」展(栃木県いしばし町グリムの館)の企画・監修やドイツ魔女街道ツアーの同行講師、
薬草専門誌に連載記事を掲載するなど、ドイツの魔女と薬草にかかわってきた。
主な著書に『グリム童話の魔女たち』(洋泉社)『ドイツ魔女街道 を旅してみませんか?』(トラベルジャーナル)、
『魔女の薬草箱』『不思議な薬草箱』(いずれも山と溪谷社)、『ドイツメルヘン街道夢街道』(郁文堂)など。