遠州三山風鈴まつり~初夏から真夏の涼感風物詩(静岡県袋井市)
2022年5月27日
遠州名物の風鈴まつりが始まった。静岡県袋井市の3つの寺院(法多山、可睡斎、油山寺)で展開されるその名も「遠州三山風鈴まつり」。日によってはぼちぼち夏を感じ始める5月下旬から8月末まで、涼感を提供する風鈴の音が境内に響く夏の風物詩。
3つのお寺はいずれも袋井市内、車(あるいは自転車でも)があれば1日で十分三山を巡ることができる。
まずは、今年のポスターの写真にも使われているメインアイコンとも言える可睡斎へ。山門を抜けると正面に圧倒的な数の風鈴が待ち受ける。風が吹くと鈴の音は一斉に鳴りはじめる。訪問者は風鈴の数とその音の大きさに圧倒される。具体的な数は伺ってないが、風鈴の数としては、おそらく三山の中でも最大ではないだろうか。
国の登録有形文化財でもある可睡斎瑞龍閣の拝観(有料)も見所はある。拝観しないと見られない富士山を形どった風鈴アート。そして、庭園や大広間の天井、日本一の東風(トイレ:登録有形文化財)、光差す院内の風情も趣がある。
可睡斎の隣接地にある「可睡ゆりの園」も圧巻だ。約3万坪の敷地に世界約150種のゆりが咲き誇る。今年は7月3日までの開催。(写真は昨年撮影のもの)
二山目は可睡斎からほど近くにある油山寺へ。可睡斎のような派手さはないが、静かな森の中に佇むお寺の雰囲気にふさわしい優しい音を風鈴たちが奏でる。青もみじや新緑の森に可憐な風鈴の姿が溶け込んでいる。三者三様の三山の中でも、一番落ち着いた涼感を感じさせてくれる。
遠州三山風鈴まつりの魅力は風鈴だけではない。この期間限定の御朱印や各山オリジナルのスイーツも用意されている。そんな特に女性たちの心に響く魅力も相俟っての風鈴まつり。
最後は二山からは少し離れた法多山へ。ここ数年、コロナで中止の年を除けばほぼ毎年来ているが、法多山の風鈴は年々進化している。日本の夏の情緒感だけではなく、現代アートばりの風鈴の展示手法が展開されている。
また、それ以外にも庭園の和傘や紫陽花をモチーフとした傘のアートや、日が当たると地面に透かしが映るパラソル空間など、芸術祭ばりに楽しませる趣向が凝らされている。(紫陽花の写真は昨年撮影のもの)
今年(2022年)の遠州三山風鈴まつりは、8月31日まで。それぞれの趣ある風鈴による涼感を袋井の三山で。
- 田中 三文 (たなか みつふみ)
愛知県豊橋市生まれ。
出版社勤務を経て、現在は三菱UFJリサーチ&コンサルティング 政策研究事業本部 上席主任研究員。
愛知大学地域政策学部非常勤講師(観光まちづくり論)
地域を盛り上げる観光事業や集客計画など、手がけてきたプロジェクトは数知れず。
2012年より2014年まで昇龍道プロジェクト推進協議会・台湾香港部会長を務め、
同エリアのインバウンド促進計画や外国人受入環境整備などにも力を注いでいる。
旅と写真とロックを愛する仕事人で、公私ともに、さすらいの旅人として各地を巡っている。
日本の真ん中に位置する中部北陸地域の形は、能登半島が龍の頭の形に、三重県が龍の尾に似ており、龍の体が隈無く中部北陸9県を昇っていく様子を思い起こされることから同地域の観光エリアを「昇龍道」と呼んでいます。
この地域には日本の魅力が凝縮されており、中部北陸9県が官民一体となって海外からの観光客誘致を促進する「昇龍道プロジェクト」も好調です。このブログでは、「昇龍道」の四季折々の姿を写真と文章で紹介していきます。
投稿についての注意事項
- このブログへのご質問については、内容によってお答えできない場合や、回答に時間がかかる場合があることをご了承ください。