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コラム カメラマンが行く!プロゴルフトーナメント

2009年を振り返って

2009年を振り返って

賞金ランク3位有村智恵も頑張った。

 しばらくご無沙汰してました。前回、次はCATレディースから…と言っていましたが、もう年末、今シーズンも終了してしまった。更新されるころには年越してるかも?で、ここで私から見た今期の感想を一言。

 良くも悪くも男女とも非常に盛り上がった一年。女子は横峯さくらと諸見里しのぶの賞金女王争い、そこに若手の有村が加わり熾烈な戦いを繰り広げ多くの試合でギャラリー数が過去最高を記録。海外では宮里藍の米ツアー初優勝など、今後に期待の持てる一年だった。

 一方、男子はといえば石川遼と池田勇太、若手二人の賞金王争い。池田の活躍が、石川遼一辺倒の男子に活気を与えたことだろう。あともう一人スター選手が出てこればAON時代の盛り上がりが期待できる?今期イマイチだったのが片山晋呉。昨年、永久シードを獲得しモチベーションの維持が大変だと思うが、来期はもっと頑張ってもらいたい。来年は片山、石川、池田のKIIで…

最年少賞金王となった石川遼、まだ18歳の高校生だ。

 男女とも盛り上がったのも良いが、今までには無かった多くの問題が浮上してきたことも事実。中でもギャラリーの観戦マナーの問題、取材メディアのマナーの問題…が一番だろう。いわゆるプレーを妨げる迷惑行為だ。場内撮影禁止の看板がいたる所にあるにもかかわらず携帯電話の写メはおろか、堂々とカメラを持ち込み撮影しているギャラリーも…昔も多少はあった問題かもしれないが…注意されても見ていないところでまた撮っている…一言注意すれば“カメラマンの一眼レフより音が小さい、大丈夫だ云々…”と開きなおる人も…

最終戦JTカップではマルちゃんが復活優勝。

 苦肉の策としてJGTOが選手出演の観戦マナー啓発ビデオを作り、ホームページやギャラプラ内のテレビなどで放送しているがイマイチ効果は薄いようで…。以前、宮里藍ちゃんブームの頃、携帯電話使用を発見されると没収一時預かりとしていた会場もあった気がするが、最近は規制を厳しく徹底することによるファン離れを恐れ及び腰になっているのも事実だ、「長い低迷から抜け出し、折角ギャラリーが増えてきたのに悪いこととはいえキツくはいえずトラブルは避けたい…」というところが関係者の本音の様だ…

 そもそも、なぜこのような問題がおきるようになったのか?そこにはギャラリーの“質”自体が変わったことに発端があるような気がしてならない。

打球をの行方を見守る多くのギャラリー。

 ここ数年、宮里藍や横峰さくら、石川遼ら多くのスター選手の出現により、ゴルフそのものよりも選手を見に来るギャラリーが増えゴルフをまったく知らない人たちが多くいると思われる。初めて来場する人が多いから、もちろん観戦マナーも知らない。中には林に入ったプレー中のボールを拾って持っていってしまう人も…その中で私がよく見た光景がある、例えば、あるグリーンで…石川遼のパットが終わると他の選手のパットが残っているにもかかわらず、しゃべったり移動したり(これはゴルフ慣れしていないメディアにも言える)…18番グリーンで言えば、多くの会場でオーロラビジョンというものが設置され、そこに他のホールでプレー中の石川遼のプレーが映し出されていたりする。

 ギャラリーにとっては目の前の18番グリーンのプレーと他のホールの石川遼のプレーが同時にみえるので嬉しいわけだが、目の前で他の選手がプレーしているのに多くのギャラリーがそのオーロラビジョンの石川遼しか見ておらず、拍手を送っているという状況…目の前のプレーは無視されてしまっている。目の前でアドレスに入っているのに拍手している…。もちろん主催者側から言えばギャラリーサービスの一環でしょうが…もうちょっと考えた方が良いのでは?

石川遼

 また、取材メディアの問題も多く見られた。中でもテレビカメラの問題。彼らはアシスタントや音声らと共に動くため廻りの状況が把握しづらい。そのためラフのボールに気付かず、プレー中のボールを蹴飛ばしてしまったり(これは我々スチールカメラマンも気を付けなければ)、カシオワールドなどでは石川組取材中のテレビクルーのカートがギャラリーの中に突っ込み、下敷きになった女性が顔を骨折するなど重傷者が出た。表彰式の時などグリーンの上に三脚を立てるなど取材マナーを知らない人も多い。グリーンは神聖な場所なのだ。

テレビクルーがボールを蹴飛ばし競技委員を呼んで審議中。

 とにかく、ギャラリーもメディアも過熱気味。その様な中で石川遼本人は冷静に対応しているようだ。さすがに、日本オープンの時は膝を叩き怒りをあらわにしたが…自身のバーディーパットやイーグルパットの時、自分に送られる歓声が隣のホールの迷惑にならないように少し待つとか…時には石川自身“止まって下さい、カメラやめてください”と言っていることもしばしばだった。…自身の人気が他の選手に与える悪い影響を考えると石川本人も辛いだろう。アマ時代のKSB優勝からの2年半、精神的にも人間的にも成長し大人になった印象を受けた一年だったが。それが最年少賞金王という結果に現れたのだろう。もう、ハニカミ王子ではない王子から王者になったのだ。これからの石川遼の更なる活躍に期待したい。このコラム“女子ゴルフツアー”というタイトルだが今回、男子に偏ってしまいすみません。では皆さんマナーを守って気持ちよく観戦をしましょう。

2009年12月25日

コラムフォト

取材担当プロフィール

山之内 博章 やまのうち はくしょう (はっちゃんと呼ばれています。)
1967年2月24日名古屋市生まれO型の魚座です
ゴルフフォトグラファーをやってますが、他に人物や商品も撮ります。
特技?なんだろ?カラオケは大好き。