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コラム カメラマンが行く!プロゴルフトーナメント

東建ホームメイトカップ

東建ホームメイトカップ

最終組通過後の18番フェアウェイ。

最終組通過後の18番フェアウェイ。

 先の大震災から中断していた女子ツアーが再開、男子ツアーも無事開幕し何とか正常に動き出した。だが、まだまだこの先プロゴルフ界にとって前途多難な一年になりそうだ。宮城、茨城のゴルフ場もクラブハウスの損傷など被害が出ているようで今後中止になる大会も出てくるだろう。被災地の1日も早い復興と原発事故の収束を願うばかりだ。
女子が暫らく中止になっていたため、私の取材も男子東建カップから始動。その模様をお伝えしよう。

 2011年、開幕戦東建ホームメイトカップでのスローガンは「復興東北!頑張れ東北!」そしてジャパンゴルフツアーのスローガンは「今、日本のために」。初日から全選手喪章の黒いリボンを付けてプレー。被災地を元気付けようと頑張った。

最終日の片山晋吾。

最終日の片山晋吾。

 東建カップでは「東日本大震災チャリティーゴルフトーナメント」として位置付け観戦チケットの全収益と主催者からの2億円+α義援金を展開。選手、ギャラリーから多くの募金が集まり2億1500万円が被災地に届けられることになった。
ちなみに最終日のギャラリー数は男子ツアー過去5年で最多の1万9021人。

 予選ラウンド2日目、片山晋吾が通算9アンダーで前日に続き首位に、茨城県出身の片山は自らも実家が被災、テンガロンハットに日の丸をつけてのプレー「もうね、とにかく頑張ろうというね、それしかない」燃え尽き症候群から抜け出し自らのプレーで被災地を元気付ようと頑張った。

 決勝ラウンド1日目、強風が吹き荒れる中、地元愛知在住の高山忠洋が8バーディー5ボギー通算7アンダーで単独首位に立つ。一打差2位に石川遼、前日首位の片山晋吾は3位。ここ多度は毎年この時期強い風が吹く、この日瞬間最大風速は15m。ホント風が強く選手も大変だが我々もカメラが風に煽られ大変だった…

優勝を決めガッツポーズの高山忠洋。石川のガッツポーズもそうだが女子と違い男子の優勝シーンはいつも見応えがあるし絵になるところがいい。

優勝を決めガッツポーズの高山忠洋。石川のガッツポーズもそうだが女子と違い男子の優勝シーンはいつも見応えがあるし絵になるところがいい。

 最終日、首位でスタートした高山が踏ん張り優勝、通算4勝目をあげた。
優勝会見では開口一番、「正直ホッとしました、その一言に尽きます」…最終日最終組、相手は2人とも歴代賞金王、簡単に勝たせてくれるわけはない。しかし前半2人が躓き4打差でハーフターン。自分のペースを維持するも、後半2人が調子を上げてきてプレッシャーをかけてくる。12番チャンスホールでショート、パーで終えた高山に対し2人はバーディー…
「隙に付け込んでくところがさすが歴代賞金王だな」と思ったという。
15番ではイーグルチャンスに付けてきた片山に対して、それより遠くから先にバーディーを決め渾身のガッツポーズ、片山に対して「負けないぞ」という気持ちで答えた。
3打差で迎えた最終18番では高山の2打目がグリーン左奥の斜面に…3打目でもグリーンを捉えられずピンチ。片山はバーディーチャンス、決めれば高山にかなりのプレッシャーをかけられるが外してしまいパー。高山がボギーながら石川の派手なチップインバーディーを尻目にウィニングパットを決め通算4勝目をあげた。「歴代賞金王に勝ったのでこれからはもっと強い選手になれる気がする」と自信を深めた高山だった。

チップインバーディーを決め飛び跳ねる石川遼、本人自身この日一番見せたかったプレーだったのだろう。

チップインバーディーを決め飛び跳ねる石川遼、本人自身この日一番見せたかったプレーだったのだろう。

 以前のぽっちゃり体形からかなりスマートになった高山だが、昨年のサンクロレラで3勝目のあと3試合連続予選落ちして体力の衰えを感じた。開幕までの3ヶ月、400m、800m、1500mを脈拍を測りながら400キロくらい走り込んだ、食事にも気を付け体重も6キロ減。体のキレもでてきた。

 通算10勝目を目指す石川遼。先日、開幕戦からの本年度獲得賞金すべてと1バーディーに付き10万円を被災地に寄付すると発表。この日はショット、パットとも上手くいかず単独3位でフィニッシュ。しかし最後は20ヤードのチップインバーディーを決め飛び跳ねてガッツポーズ、19歳ながらプロとして“見せる”ことができるのはさすがだ。ファンも石川らしいこの一発が見たかったに違いない、このシーンにファンも満足したことだろう。しかし本人は後で高山を気遣って「余計な事をしてしまった、優勝でもないのに」と後悔も…でもいいんです、あなたのバーディーで少しでも被災地が救われるのだから。19歳はまた1つ大人になった。

 ともあれ無事動き出した今年のツアーだが、被災地のために何か出来ることはないかと色々な企画が立てられている。ゴルフツアー機構でも所轄する全試合の賞金の6パーセントを義援金として送ることが決まったし、先日は私の所属する日本ゴルフ写真家協会でも、ゴルフツアー機構と女子プロゴルフ協会、それぞれをを通して僅かではあるが義援金を送った。また、各トーナメント会場でもチャリティー写真展などを開催して被災地を応援していくつもりである。

2011年04月25日

コラムフォト

取材担当プロフィール

山之内 博章 やまのうち はくしょう (はっちゃんと呼ばれています。)
1967年2月24日名古屋市生まれO型の魚座です
ゴルフフォトグラファーをやってますが、他に人物や商品も撮ります。
特技?なんだろ?カラオケは大好き。