【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. カメラマンが行く!プロゴルフトーナメント
  4. 日本のゴルフツアー

コラム カメラマンが行く!プロゴルフトーナメント

日本のゴルフツアー

日本のゴルフツアー

賞金王のベテラン藤田寛之。

賞金王のベテラン藤田寛之。

 今年もあと僅か、暫くの間日本のゴルフツアーはオフシーズンだ。今年の賞金王は藤田寛之、賞金女王は全美貞。来期の男女国内ツアー日程も決まった。男子は今年より2試合減の23試合、キャノンオープン、サンクロレラクラシック、とおとうみ浜松オープンが無くなり、HEIWA・PGM DREAM CUP IN霞ヶ浦が新規で入った。また、パナソニックオープンが今期限りとなった。長引く不況、円高、国際問題などで企業業績も悪化、低迷する日本の企業に、これまた低迷する男子ゴルフツアーを支える余力がないのも確か。プロゴルフの様なスポンサー頼みのスポーツイベントは景気=試合数の図式がそのまま表れてくる。先の選挙で自民党が圧勝、政権に復活したが今のこの閉塞感に風穴を開けることができるか?見極めたいものである。

斉藤愛璃、ダイキンオーキッドレディスで優勝。

斉藤愛璃、ダイキンオーキッドレディスで優勝。

 一方、女子の方はというと、なんと1試合増の36試合。アクサレディースが新規で入った、一部冠スポンサーの入れ替わりがあったが、賞金総額は31億円以上、日本女子ツアー史上最高額らしい。こちらは景気とあまり関係ないようだ。何故か?ここ数年、韓国選手に賞金女王の座を奪われているにもかかわらず低迷しないのは何故か?、それは、次から次へと期待の若手選手が出てくるからだろう。斉藤愛璃、木戸愛、成田美寿々など…他にも挙げればキリがない。韓国最強軍団に横峯さくらや有村智恵などベテランが挑み、そこに若手期待選手が絡んでくる、エキサイティングな試合展開にワクワクすることも多いからだろう。しかし韓国選手にばかり賞金女王、優勝を奪われたのではスポンサーも嫌になること請合いだ、来年こそは賞金女王を日本選手の手に奪還してもらいたいものだ。

 以上、男女ツアーを比べてみても、より人気のある方にスポンサーとして投資?する傾向が顕著になってきていることが分かる。企業もこの不況の中では、より宣伝効果のある方を選ぶのだろう。

 また、来年は石川遼が米ツアーに本格参戦するため、国内出場試合が減りギャラリーの動員数も激減するだろう。ここ数年、石川1人でツアーを引っ張ってきたようなものだから仕方が無いが…これ以上スポンサーが脱落しなければよいが…

石川遼10勝目の瞬間、まだ涙は出ない。

石川遼10勝目の瞬間、まだ涙は出ない。

 最後に石川遼の2年ぶりのツアー10勝目、住友VISA太平洋マスターズ優勝について少し書いておこう。この試合、私の今年最後の取材になったわけだが。石川の優勝の瞬間、私自身何か…ホッとしたような気がした。「やれやれ」という感じか。もっとも本人が一番「ホッ」としただろう。
 「人間なんで“また今年も勝てないかな”と思うこともあった。最近は、練習しても本当に上手くなるのかな?と思いながらやっていた。でも今は練習したから勝てたと思う。速く結果を求めてはいけないんだなと思いました」
今まで一番辛かった時期は?「今日かもしれない、調子は良くないのにトップに立っている。最終18番、松村さんがイーグルパットを外したときは、正直ホッとした」
2年間勝てなかった要因は何?
「勝ってみて分かったけど、はっきり“無い”という答えが出た、今日勝ってみてホントその通りだった。勝つためには自分に勝因があるわけではなく、自分が15アンダーまでいって他にそのスコアの選手がいなかっただけ。他に15アンダーの選手がいれば勝てなかったかもしれない、今日は運がよかった」

優勝インタビューの石川遼、思わず涙が…

優勝インタビューの石川遼、思わず涙が…

ウイニングパットの瞬間については?
「泣くと思ったが、ホッとして泣かなかった。しかし、後で関係者やスタッフの顔を見たらムリだった。この2年間ほんと色々あったので…2年間サポートをしてくれた方々に何もできなかった、この2年間の苦労を考えたらこの1勝でチャラにはできない、もっと頑張らなくては」
「僕は、もがいているとか、悩んでいるとか、そう思われるのが大嫌い。そういうふうに見られたくない。調子に乗るタイプなので何でも簡単にやっているように見せたい。しかし実は不器用なので影で凄く頑張っている。これはあんまり書いてほしくないですね…笑」
ウィニングボールは?
「今まで一度も投げてません、みんな彼女にあげています。でも「最近くれないんだね」と言われたばかりだったので、早く10個目のウィニングボールをあげたかった」

この試合は、ここ太平洋御殿場クラブでなければダメなんです。

この試合は、ここ太平洋御殿場クラブでなければダメなんです。

 また、この大会には石川自身2勝したこともあり、深い思い入れがあるようだ。この大会の開催地である、太平洋クラブの破綻により今年の大会開催が危ぶまれたこともあり。「何も分からない人間が言うことじゃないかもしれませんが、ここで2勝した者としてあえて言わせてもらえば、住友VISA太平洋マスターズはここで開催されなければ意味がないと思う。関係者に聞くとこれからのコース管理にしてもどうなっていくか分からないと言っていました。来年もディフェンディングチャンピオンとして、この御殿場に戻ってこられることを願っています」 大丈夫2013年も太平洋御殿場コースでの開催が決まりました。
そんな石川遼も2013年は米ツアーを主戦場にする。世界を舞台に今後更なる困難が待ち受けるかもしれないが、彼なら乗り越えられるだろう「簡単な様に見せて」…メジャー優勝が見られるのも近いかもしれない。来年は有村智恵の海外参戦もあり、日本ツアーが少し寂しくなるが彼らの活躍を願いたいところだ。

2012年12月26日

コラムフォト

取材担当プロフィール

山之内 博章 やまのうち はくしょう (はっちゃんと呼ばれています。)
1967年2月24日名古屋市生まれO型の魚座です
ゴルフフォトグラファーをやってますが、他に人物や商品も撮ります。
特技?なんだろ?カラオケは大好き。