近年、ゴルフツアーでサングラスを使用する選手がめっきり増えたような気がする。特に女子ツアーではここ2~3年で極端に増加、ちょっとびっくりだ。
5月に行われた中京テレビブリヂストンレディース第1ラウンドでは108名中70名が使用していた。実はこのサングラス、我々カメラマンにとっては困りモノなのだ。何といっても顔が判らない、石川遼や宮里藍のようにトレードマークになっている選手は良いが、たまに「これは誰だ?」ということもある。せっかく撮影しても顔が判りにくいということでNGになることも。練習ラウンドやプロアマ大会でお願いして、外した状態で撮らせてもらったりと大変。特にゴルフはアクションが少ないスポーツなので顔の表情が写真的にも重要なのだ。ま、選手のプレイに必要なら致し方ないが、優勝のウイニングパットの時ぐらい外してほしいかなぁ…
ということで今回、サングラスについて書いてみよう。最近はゴルフでも男子、女子ともにサングラスをしている選手が多い。私がゴルフを初めて撮影した1985年頃サングラスをしている選手はほとんど見かけなかった。
あえて挙げれば、男子の東聡くらいか?でも昨今の様なスポーツタイプではなく普通のファッション的なものだった。1995年頃には女子のマーニー・マクグァイヤがオークリーのサングラスをかけていたのが印象的だった。その後宮里藍がオークリーを使用するようになり広がったような気がする。男子では石川遼がスワンズを使用している。
そもそも、30年程前まではスポーツシーンでサングラスはあまり見かけなかったような気がする。スキーなど紫外線の強い山岳スポーツでは使用されていたようだが、実際の競技ではゴーグルだった。
私の思うところスポーツサングラス流行のきっかけは自転車ではないかと思う。1880年代当初自転車競技でもサングラスはまだ普及してなかったが、1883年のツール・ド・フランスでベルナール・イノーが5度目の総合優勝を挙げた時、使用していたのがルディプロジェクトのサングラス。顔を覆う様な曲線ラインのもので当時としては先鋭的なものだったのを覚えている。時期を同じくしてオークレイ(当時は皆そう読んでいた)が自転車界に進出、でも当時のオークリーまだ幅広でゴーグルに近いイマイチなシロモノだった。
その後トライアスロンやマラソンに普及していき最近では野球やテニスなどでも見られる様になる。果たしてその効果は如何に?ということだが、一般的に考えれば遮光、紫外線対策、ファッション性などが考えられるが、検証してみよう。
まず、自転車の場合、最大の効果は風除けである(私は18年程自転車競技をやっていた)高速で長時間走るロードレースなどでは風により目が乾く。いわゆるドライアイの様な状態になり視力が低下、集中力も散漫になり落車など事故に繋がるため、天気の悪い日でも透明レンズを使用する場合が多い。また雨の日は前方選手の“ハネ”除けにもなるので必需品。
では、陸上競技、マラソンではどうか?スピードは自転車ほどでもないが、やはり風は受ける。
風除けというよりは遮光による集中力維持のためか?次に野球、これも集中力維持の効果が大だろう。確かに目の前が少し暗くなるだけで集中力が高まる様な気がする。ではサーフィンはどうか?これはファッション的要素と砂浜での遮光が主だろう、実際海の中では使用しないようだ。次に本命のゴルフ、ゴルフは山間部など紫外線の強い地域でプレイするので、ずばり紫外線防止か?特に春から夏にかけては紫外線が強く、私も1日中外で撮影していると眼精疲労による頭痛に見舞われたりする。サングラスをかけていると1日快適に過ごせるのだ、また風の強い日などは風除けにもなる。また、グリーン上ではコントラストがアップしラインが読みやすくなる効果も。女子の成田美寿々の様にダブルがけの選手も、度付きらしいがシーンのよって使い分けるのだろう。また移動やショットの時はかけ、グリーン上では外している選手も多い。
まぁ、終日外で活動していれば肌だけでなく目にも紫外線対策は必要ということ。近年はオゾン層の破壊により生物に有害な紫外線である“UV-B”が増えていることもサングラス使用を後押ししているようだ。ギャラリーにしてみてもサングラスは必需品かもしれない。
2014年07月31日