【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. カメラマンが行く!プロゴルフトーナメント
  4. ゴルフトーナメントの裏側~コースの維持管理~

コラム カメラマンが行く!プロゴルフトーナメント

ゴルフトーナメントの裏側~コースの維持管理~

ゴルフトーナメントの裏側~コースの維持管理~

 新型コロナウイルスの影響が見通せない中でプロ野球が開幕した。サッカーも再開するというが、無観客など入場者も大幅に制限されるそうだ。一方、日本のプロゴルフツアー。男子はSMBCシンガポールオープンで一応は開幕してはいるものの、国内はまだ始まっていない。特に男子はツアーメンバーの4割が外国人選手ということもあり、渡航制限がある以上「公平」という観点からしても国内開幕は出来ないのが現状だ。一部の地域から除々に渡航制限解除との報道もあるが、世界中で爆発的に感染者が増えている現在、そう簡単には進展しないと思う。今後の予定では8月20日のセガサミーカップからの開催を調整中ということだが、それも渡航制限の解除次第だろう。

 そして、今シーズンは来シーズン(2021年度)と統合。今年のSMBCシンガポールオープンから来年の最終戦までが1シーズンとして運用されることになった。
混沌とした状況が続いているが、明るいニュースもある。7月に開催予定だった新設の「ゴルフパートナーPro-Amトーナメント」が規模を縮小して、2日間のエキジビジョントーナメントとして無観客で開催されることとなった。こちらは決定。インターネットにより生中継されるそうだ。開催にあたっては「国内プロゴルフトーナメントにおける新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」に従い、万全の感染防止対策を行うという。選手並びにスタッフ関係者全員のPCR検査も実施する(女子では協会HPで検査結果が発表されていた)というが、どのような形態になるのかはまだ不明。当面の間PCR検査は義務化されるかもしれない。私もいずれ受けることになると思うが…。

 一方の女子はアース・モンダミンから開幕。こちらも無観客で上記ガイドラインに従い対策を実施。しかしその先のNEC軽井沢(未定)までの4試合は中止が決定している。世間は日常を取り戻しつつあるが、スポーツ界はまだまだなのだ。実際、私の仕事も激減。まんじりとしない日々を過ごす中で感じることは、ここまで日本経済が打撃を受けてしまった今、 緊急事態宣言や外出自粛はよほどの事態にならない限りもう出せないだろう。それぞれが意識や生活習慣を変え、上手くコロナウイルスと付き合っていくしかないのではないかと思うのだが…。

ティーイングエリアを着色する作業。みるみるうちにグリーンになっていく。

ティーイングエリアを着色する作業。みるみるうちにグリーンになっていく。

 ぶらっ人の原稿も、試合が無いため撮影も無くネタもない。この状況がいつまで続くか分からなので、過去に撮影した雑観の中から、ちょっとネタになりそうなものを探してみた。
日本の多くのコースではグリーン以外の場所で高麗芝が使われているが、高麗芝は冬になると休眠期に入り枯れて茶色くなる。しかし3月~4月頃のトーナメントを見ていると何故?か芝生は緑だ。芝生の芽吹きは4月なのに何故? それはトーナメント開催に向けて着色(カラーリング)しているからだ。一般プレーヤーに気持ちよくプレーしてもらうために冬の間着色しているコースもあるが、着色の理由は「テレビ映えがする。ボールの位置が分かりやすい」だそうだが、意外なのが芝の芽吹きや育成にも良い効果があるということ。以前、ゴルフ場を使ったロケで数ホール着色したこともある。夏用ウェアは2月~3月に撮影するからだ。
着色の範囲はティーグラウンドからフェアウェイ、グリーン周りなどでラフは塗らない。グリーンはもともとベント芝(洋芝)のゴルフ場が多いので冬でも枯れず緑のまま。北海道など北国のゴルフ場はフェアウェイやラフでもベント芝なので冬でも緑のままのところが多いが、本州以南のゴルフ場は暑さに強い高麗芝が使用されている。ベント芝は夏の暑さに弱いのだ。ちなみにJリーグの開催されるトヨタスタジアムなどでは春と秋に夏芝と冬芝を1ヶ月かけて張り替えている。

 また夏の間猛暑が続くと高麗芝と言えども枯れやすく、ホールの所々がハゲハゲになってしまうので、このような場合も着色したりする。トーナメントのコース管理は大変なのだ。

東建ホームメイトカップ18番グリーン周り設営の様子。ここにスタンドを造る。コブがあってやりにくそう…。

東建ホームメイトカップ18番グリーン周り設営の様子。ここにスタンドを造る。コブがあってやりにくそう…。

 トーナメントに向けてのコース管理はというと、3ヶ月ほど前からラフを延ばし始め、グリーンは刈り込み、除々に速くしていく。3~4月の試合では前年から対応の場合もある。これはコースをプロのトーナメント仕様にしていくためだ。という事は、一般プレーヤーには除々に難しくなってくるということ。この間も通常営業しているのでメンバーの理解も必要なのだ。プロ仕様のラフに入れてしまうと中々難しく、スコアも出ない。時には“ニラ”の様なラフでボールが分らなくなってしまう場合も。ま、フェアウェイに置けば問題はないのだが…。

 私の仕事は順調に行けば9月4日から始まる女子のゴルフ5から…。しかし状況は刻一刻と変わっていく。始めは6月くらいから出来るだろうと思っていたが…。どんどん後ズレしていくので、この記事の情報もUPされた頃には変わっているかもしれないのであしからず、です。が、まだ2ヶ月あるので何かネタになるモノを探してみよう。

執筆:2020年6月23日

2020年07月08日

コラムフォト

取材担当プロフィール

山之内 博章 やまのうち はくしょう (はっちゃんと呼ばれています。)
1967年2月24日名古屋市生まれO型の魚座です
ゴルフフォトグラファーをやってますが、他に人物や商品も撮ります。
特技?なんだろ?カラオケは大好き。