「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、
最近めっきり秋めいてきましたね。
秋らしい花を見に行こうということで、愛知県稲沢市の円光禅寺へ。
ご住職の奥様にうかがったところ、
臨済宗妙心寺派の禅寺で、本当は円光寺という名称だそうですが、
同市内にある同名の円光寺(天台宗)と区別するために、
「禅」という字を付けているそうです。
「萩の寺」の異名の通り、約20種類、200株のハギが出迎えてくれました。
参道の両側には、白やピンクのハギの花。
同寺では赤系の花から先に咲き始め、少し遅れて白が咲くそうですが、
今年は酷暑のためか全体的に例年より1~2週間咲き始めが遅れたといいます。
9月中ごろからようやく白い花が咲き始めたとのことで、
まだつぼみ状態の花もたくさん。
↑ほころびかけの「山萩」の白。
葉っぱの緑との組み合わせがさわやかで、清々しい気持ちになります。
境内は至るところ「萩の小径」となっており、
のんびり散策がとってもいい気持ち。
木々の間を通り抜けてくる風が心地よく、
かわいらしい花が鈴なりになったハギの枝をさわさわと揺らします。
↑「万葉集」で、「秋の野に 咲きたる花」として山上憶良が挙げた
秋の七草(種)のお仲間、ススキとの競演も。
美しい調和に、時の経つのを忘れて見とれてしまいました。
↑平日の午後だったため、人出はそう多くはありませんでしたが、
訪れる人が途切れません。
境内には約20品種のハギがあるそうですが、
分類が細かすぎて、素人が見分けるのは至難の業です。
特徴を教わったり調べてみたりして、
なんとなく「そうかな」と思えた花をいくつかご紹介します。
↑たぶん、「山萩」の赤。
濃いめの色が、目に鮮やか。
山萩は赤花種と白花種があり、枝はほとんど垂れ下がらないのだそうです。
↑たぶん、「飛鳥野(あすかの)萩」。
薄めのピンク色の花びらがかわいらしい。
↑たぶん、「白(しら)萩」。
「錦(にしき)萩」の白花種で、「白花(しろばな)萩」ともいわれるそうです。
↑これは「二葉萩」の白花種と思われます。
ハギはマメ科で、三枚一組となった葉を出すのですが、
この株はよく見ると葉が二枚ずつ対になっています。
葉の形が細長く、ナンテンに似ているため「南天萩」とも。
↑恐らく「源平萩」。
白地に赤の斑入りで、なかなかきれいに色が出るものが少ないけれど、
花びらの中央辺りで左右にはっきり色が分かれているものを
源氏と平氏の対立に見立てて「源平になっている」というそうです。
↑これは「蒔絵(まきえ)萩」。
大人の背丈ほどになるハギの中でも小型で、高さはひざ丈ぐらい。
花の付きは多くありませんが、りんとした美しさがあります。
趣のある品種名は、細長い花柄が蒔絵の線を思わせることから
付いたといわれているそうです。
↑こちらの花は、白かと思ったら少しピンクの斑が入っています。
品種は…わかりませんでした。
こうして一つひとつじっくり眺めているうちに、
品種の推測よりも、いろいろな発見があることが楽しくなってきました。
↑かんざしのように枝垂れた花と、そこに留まるチョウチョ。
ふすま絵にありそうな構図ですね。
↑境内の散策を終え、本堂へ。
9月末までは、本堂内で「萩茶」のふるまい(セルフサービス)があります。
↑大きなやかんに用意された萩茶。
乾燥させたハギの葉や茎、根を乾燥して煎じたものだそうで、
利尿降圧や、のぼせなどに効能があると書かれていました。
のども渇いていたので、いただいてみました。
萩の花の色を思わせるような赤っぽい色をしたお茶は、
ちょっとドクダミ茶に似た風味で、優しい味わい。
時折本堂内に吹き抜けるさわやかな風と、
湯飲み片手に思い思いに訪問客が語り合っている空気が心地良く、
つい長居してしまいました。
↑本堂からの景色。
あっちを見ても、こっちを見ても、ハギがずらり。
この日は全体的に6~7分咲きということでしたが、
満開になったらさぞ華やかでしょうね。
11月には、葉が黄に色づき、また風情があるそう。
↑境内にあった、名古屋市出身の歌人・高田游の句碑。
「さようならの 言えるまで この萩の寺」
なんか、心にしみました。
取材日:2013年9月20日
円光禅寺
愛知県稲沢市矢合町3424
TEL: 0587-36-2560
交通アクセス
○公共交通機関
名鉄・国府宮駅から矢合観音行きバス乗車、終点から徒歩約8分。
○車
名古屋高速(6号清須線)清洲東ICから名古屋環状2号線経由、「廻間」交差点を右折して県道67号へ、
「儀長南橋」交差点を右折して県道121号へ2つ目の信号(名称なし)を左折してしばらく行くと、右側に無料駐車場あり。
※東隣に萩園神社、300mほど北東には矢合観音があります。
- まころーど
- 名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。