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コラム 花紀行

滋賀県米原市「地蔵川」のバイカモ

滋賀県米原市「地蔵川」のバイカモ

毎日暑いですね。
夏もまだ序盤だというのに、すでにバテ気味です。

こんなときは、
清流に咲く可れんなお花に元気をもらいに行きましょう。

ということで、向かった先は
滋賀県米原市にある旧中山道の醒井(さめがい)宿。

↑国道21号沿いにあるJR東海道本線の「醒ヶ井駅」前。

すぐ隣には、
地元の野菜や特産品の販売コーナーや食事処のある
「醒井水の宿駅」があります。

醒ヶ井駅の南側には旧中山道の醒井宿があり、
今回お目当てのバイカモが群生する
清流・地蔵川が流れています。

↑地蔵川に架かる「醒井大橋」。
 かわいらしい「大橋」です。

↑醒井宿と地蔵川。
 通りや川沿いには、
 お店や民家、資料館などが建ち並んでます。

↑国登録有形文化財の「旧醒井郵便局」。
 ヴォーリズが設計に携わった擬洋風建築だそうです。
 現在は、自由に見学できる資料館になっています。

↑地蔵川沿いにある建物ごとに橋がかかっていて、
 川縁まで降りられる階段もあります。

橋の上に立って、ふと流れに目をやると…。

↑水中に、お花畑が!
 バイカモです。

少し近づいてみましょう。

↑前の日に大雨が降ったためか、
 水量が多く、流れも速いため、
 真上から写真を撮ると、こんな感じ。

透明度の高い水の流れに身をまかせて
ゆらゆらと漂っている様子は、
本当に涼しげで見ていて飽きません。

↑花が水上に顔を出しているスポットがありました。
 この辺りは浅瀬になっており、
 大きな群生が流れをゆるやかにしています。

↑かわいらしい水の妖精たちが
 お日様を浴びに顔を出しているようです。

↑一つひとつの花の大きさは、小指の先ぐらい。
 「梅花藻」という名の通り、
 梅の花のような花弁です。

バイカモは、キンポウゲ科の沈水植物。
開花期は初夏(5月中旬)から晩夏(9月下旬)で、
水温が年間14度前後の清流にしか生息しないそうです。

地蔵川の水に手を浸すと、
最初はひんやりとして気持ちいいのですが、
10秒以上つけたままにしていると、
ちょっとしびれてくるぐらいの冷たさです。

↑こちらが、地蔵川の水源「居醒の清水」。
 環境省の「平成の名水百選」にも選ばれている湧水です。

醒ヶ井駅から南東に約800メートル、
宿場のほぼ東端に当たります。
普通に歩けば、約20分ぐらいかな。

すぐ近くには地蔵堂や加茂神社があり、
「居醒の清水」の名前の由来となった
ヤマトタケルノミコトの伝説を伝える札もありました。

人の生活と共に守られてきたこの清流は、
水辺の生態系も豊かです。

↑絶滅危惧種「ハリヨ」の生息地であることを伝える看板。

ハリヨは4~7センチのトゲウオ科の淡水魚で、
滋賀県東北部と岐阜県南西部の清流だけに生息しているそうです。

ほかに、
細長い巻き貝(多分カワニナ)や
10~20センチほどの魚も見かけました。

↑石の間から顔を出していた、うすピンクの花。
 オダマキの仲間でしょうか。
 楚々とした美しさに心打たれます。

通り沿いには、
湧水でいれたコーヒーがお値打ちに飲める茶店や
梅花藻ソフトクリームが食べられる製菓店もあり、
お店を冷やかしながらの散策がお薦めです。

毎年、
バイカモの最盛期となる夏の2週間は、
地蔵川周辺のライトアップが行われるそうです。

↑2014年のライトアップの様子。
 (米原観光協会提供)
今年は
7月23日~8月7日(午後7時半~8時半の1時間)の予定とのこと。

暗闇にぼんやりと映し出されるバイカモも、
美しいでしょうね。

こんなに人の生活に近く、
こんなに清流が保たれている場所はなかなかありません。
本当に貴重な場所で、ありがたいことだなと感じました。

地元の人たちの手で大切に守られてきたのでしょう。

楽しみに訪れる私たちもマナーに十分気を付けて、
未来へ引き継いでいきたいと強く思いました。

取材日:2016年7月10日

DATA

滋賀県米原市醒井

 問い合わせ先:0749-58-2227(米原観光協会)
 ※2016年7月23日から8月7日の2週間は、
  地蔵川周辺がライトアップ行われる予定(午後7時半~8時半)。

交通アクセス

○公共交通機関
 JR醒ヶ井駅から地蔵川まで徒歩5分。

○車
 北陸自動車道・米原ICから東へ約2.5キロ。
 ◎「醒井水の宿駅」に駐車場(無料)有り。

取材担当プロフィール

まころーど
名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。