今年の7月は、
上旬に豪雨、中旬以降はうだるような猛暑に見舞われ、
過酷な天候が続いています。
すでに夏バテ気味の人も多いようですが、
夏に咲く花たちへの影響も心配です。
そんな中、
自治体と地元の有志が協力して、
「ハスの再生プロジェクト」に取り組んでいる
愛知県安城市の本證寺を訪ねて来ました。
本證寺は、
室町時代中期に真宗三河三か寺として大きな勢力を持ち、
16世紀後半に起こった三河一向一揆の中心寺院として知られます。
内堀と外堀を備え、土塁が巡らされていることから、
「城郭寺院」とも呼ばれています。
↑本證寺の山門。
境内はぐるりと内堀に囲まれ、
北側には白ハスが、南側には赤ハスが生い茂っています。
↑山門から北側を見たところ。
隅櫓のようにも見える鼓楼がそびえ、
堀に白いハスの花が咲いているのが見えます。
↑山門から南側を見たところ。
堀には、赤いハスの花が咲いています。
↑南側の堀から鐘楼を見上げたところ。
何ともいえない風情がありますね。
過酷な天候の下でも、
けなげに咲いている花たちを見ると、
ほっと安心するような、
そのたくましさに拍手したいような…、
とにかく元気をもらえます!
地元出身で、
子どものころは境内でよく遊んだという
本證寺ハスの会代表の矢田善明さんによると、
昔からお堀にはハスがたくさん咲いていたが、
10数年ほど前に、なぜか一度全滅してしまったといいます。
そこで、
歴史的景観を守り伝えるために、
安城市と地元の有志が協力して、
ハスの植栽に加え、外来種の駆除や堀の掃除など、
ハスの復活に向けた保護活動を続けているのだそう。
毎年、方角ごとに開花状況が異なるそうで、
「今年は南側の赤ハスはいい具合だけど、
北側の白ハスがちょっと元気がない」とのこと。
素人目には、
白ハスも結構咲いているように見えますが、
状態のいい年は、もっと壮観なのだとか。
↑山門から南、西へと向かう堀を埋め尽くす赤ハス。
(花びらの色は退色して、少し白っぽくなっています)
↑山門から北、西へと向かう堀を埋め尽くす白いハス。
↑いろいろなハスが入り乱れる西側の堀(本堂の裏)。
午前中だったので、木陰になっていて涼しそうです。
↑西側の堀には、八重の品種も。
↑きれいに咲いていた赤いハス。
木の間から差し込む日の光がスポットライトのようになって、
美しさを際立たせていました。
↑一旦開いて、閉じかけている赤いハス。
↑見ごろの白いハス。
楚々とした気品があって、涼しげに見えますね。
花托の中のポツポツがまだ黒くなっていないので、
開花2日目(受粉前)でしょうか。
↑葉っぱの陰に隠れていた、閉じかけの白いハス。
↑薄桃色のハス。
これは花托の中のポツポツが黒くなっているので、
開花3日目(受粉後)と思われます。
↑閉じかけの薄桃色のハス。
ぼんぼりのような形がかわいらしくて、
インテリアに欲しくなっちゃいました。
↑今年、内堀から間引きしたハスを移して、
本證寺の西側に作ったというハス田。
↑小振りだけど、元気に育っています。
↑こちらは、外堀のハス。
外堀といっても、
現存する部分は小さな三角形の池のような感じで、
ハスは、水辺のぐるりに若干あるだけでした。
山門から東側に100メートルほど行ったところにあります。
2015年には、
地下に眠る外堀なども含めた境内の遺構群が
国の史跡の指定を受けた本證寺。
そこには、
古き良き伝統的景観の一部として重要な素材として、
郷土を愛する地域の人たちに大切に育てられ、
名所として復活した「ハスのお堀」がありました。
取材日:2018年7月14日
本證寺
愛知県安城市野寺町野寺26
TEL:0565-99-0221(本證寺)
※拝観無料。
交通アクセス
○公共交通機関
名鉄西尾線・南桜井駅から、あんくるバス桜井線(安城厚生病院行き)に乗り、「野寺本證寺前」停下車すぐ。
○車
国道23号(知立バイパス)藤井ICから東へ約2km。
※境内に無料駐車場有り。
- まころーど
- 名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。