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コラム 花紀行

愛知県津島市「天王川公園」のスイレン

愛知県津島市「天王川公園」のスイレン

梅雨というよりは、
すでに夏のような天候が続く中、
水辺に咲くかれんなスイレンを見たくなり、
津島市の「天王川公園」へ。

南北に細長い天王川公園は、
織田信長も見物したと記録が残る「尾張津島天王祭」(7月第4土曜)や、
東洋一といわれた「尾張津島藤まつり」(4月下旬~5月上旬)の
会場として知られる総合公園。

総面積は約12万平方メートルあり、
春はサクラとフジ、夏はスイレン、秋はヒガンバナや紅葉と、
季節の花が楽しめる名所としても、多くの人を引きつけています。

↑天王川公園の案内図。

北側にある楕円形の「丸池」は、
天王川がせき止められて廃川になったことによりできた池で、
「中之島」という小さな島が浮かんでいます。

↑丸池の南端。
 東側の岸に、
 天王祭の主役・巻きわら舟をかたどった
 モニュメントが見えます。

↑北側を見たところ。
 池の西岸と中之島を結ぶ赤い橋がよく目立ちますね。

↑橋に近づくと、スイレンが咲いているのがよくわかります。
 市の職員の方のお話では、
 スイレンは、赤い橋と中之島の周囲
 約2700平方メートルの水域を区切って植栽されており、
 例年、6月下旬から7月上旬が最盛期で、
 7月下旬ごろまで楽しめるそうです。

↑赤い橋を北側から見たところ。
 水域が区切られているのがよくわかります。

↑せっかくなので、赤い橋を渡りましょう。

↑島内には、ベンチやあずまやのほか、
 藤棚や、郷土の偉人(野口米次郎)の銅像あり、
 意外に広いという印象。
 市の資料では、
 1358平方メートルあるそうなので、
 400坪ちょっとですね。

↑島の周囲には石垣があったり、
 水辺まで下りられる階段があったりして、
 より近くでスイレンの観賞ができます。

 水面から飛び出している赤茶色のものは、
 開いて水面に浮かぶ前の、幼い葉っぱ。
 まだまだ増えそうですね。

↑北東側にあるスイレンの植栽域の囲い。

↑こちらは、南東側にあるスイレンの植栽域の囲い。
 

↑間近で見たスイレンたち。
 スイレンの葉は、水面を離れて立ち上がることはあまりありませんが、
 花は、茎が長く伸びて、水面を離れて咲くものが多いのがわかります。

↑満開スイレンのアップ。

一般に温帯性のスイレンは、
朝開花し、午後または夕方になると閉花する
というのを数日繰り返すといわれますが、
天王川公園のスイレンは何時ごろに閉じるのか興味がわいたため、
お昼を挟んで、午後にもう一度訪れることにしました。

 ◇ ◇ ◇

そして、午後3時過ぎ。

↑来てみてびっくり!
 あれだけたくさん咲いていた花たちが、
 見事に(?)閉じていました。

↑定点観測です。
 左の写真は正午ごろに撮ったもの。
 右の写真は午後3時半ごろに撮ったもの。
 ほんの3時間余りの間に、こんな変貌を遂げていました。

 橋のたもとで「まだ咲いてないんだね」と話していたご夫婦に、
 おせっかいながら、思わず「実は…」と話しかけてしまいました。
 「へえ、今度は午前中に見に来るよ」と納得されていました。

 花の生態を知らないと、
 見ごろを見逃すというもったいないこともあるんだなあと、
 改めて考えさせられたできごとでした。

↑閉じるときに、茎を挟んでしまったらしいスイレンの花。
 こんなユーモラスな姿を見てしまったら、
 1日の変化をずっと見てみたい気にもなります。

↑スイレン以外に園内で見かけた印象的な花たち。

 左上から時計回りに、
 ネジバナ、
 咲き遅れのフジ、
 ナンテン(以上、中之島内にて)、
 クロコスミア(和名ヒメヒオウギズイセン、園内の土手にて)。

 ほかにも多彩な野の花が見られたので、
 ぐるっと一周してみるのも楽しいですよ。

↑こちらは、印象的だった虫たち。

 左の写真はコシアキトンボ。
 池の上をぶんぶんと元気よく飛び回っていました。

 右の写真はアゲハチョウ。
 3匹並んで何してるのかと思ったら、
 湿った砂地にストローのような口を伸ばして、
 どうやら水飲みタイムのようでした。
 もしかしたら、
 誰かが甘いジュースをこぼしたのかもしれませんね。

6月下旬から7月上旬が最盛期と聴いていた通り、
まさに見ごろだった天王川公園のスイレン。

園内には、
織田信長が天王祭を見物したという天王橋跡や、
大正5(1916)年建築の旧鈴木邸といった旧跡も残る天王川公園。

水辺をのんびりと散歩するのも心地良く、
何度でも訪れたいと感じさせる公園でした。

取材日:2019年6月22日

DATA

天王川公園

愛知県津島市宮川町1丁目
TEL:0567-55-9687(市都市整備課)
※入場無料

交通アクセス

○公共交通機関
名鉄尾西線または津島線「津島」駅から南西へ徒歩約15分。
または「津島」駅から津島市巡回バス(月~土曜運行)Aコースに乗り、「南門前」下車、東へ徒歩約3分。
○車
東名阪自動車道・弥富ICから北へ役7km。
※無料駐車場有り。

取材担当プロフィール

まころーど
名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。