3月も下旬に入り、
百花繚乱の季節へと突入しつつあります。
この時期、
山地の落葉樹林帯でひっそりと開花し、
「春の妖精」とも呼ばれるのがカタクリです。
東海地域では、
愛知県豊田市の香嵐渓や岐阜県可児市の鳩吹山、
三重県いなべ市の藤原岳などが
カタクリの群生地として知られています。
もう少し近場(名古屋近郊)で
カタクリを見られる場所はないものか…。
調べてみたら、
愛知県小牧市の小牧山に小さな群生があることがわかり、
早速訪ねてきました。
↑小牧山入り口の案内図。
(地図では北が下になっています)
搦手口(からめてぐち)側にある北駐車場に車をとめると、
土塁断面を見ながら敷地内に入り、左(東)に向かいます。
敷地内では、
少しずつ距離を空けながらレジャーシートを広げた
多くの家族連れが春の一日を楽しんでいました。
あちらこちらで、
花たちに呼び止められているように感じて、
なかなか散策が進みません。
↑爽やかな白色が輝きを放っていたユキヤナギ。
一つひとつの花は小さいけれど、存在感は抜群です。
↑「北国の春」の歌詞でもおなじみのコブシの花。
春がやって来たという喜びがにじみ出ているようです。
↑白い大振りなスイセンが満開でした。
大杯スイセンの仲間ですね。
名札はありませんでしたが、
アイスフォーリスという品種かな。
クリーム色の副花冠が優美です。
この白いスイセンのすぐ近くにある井戸跡の
山側斜面辺りがカタクリの群生地のようなので、
少し登ってみることにします。
↑わかりにくいですが、縄張りのある一角があります。
近づいてみると…。
↑紫色の小さな花たちが…!
↑カタクリの花です!
一株に一花として、
咲いている花だけで、ざっと50株近くありそうです。
つぼみも結構見かけましたので、
数はもう少しあるかもしれません。
↑花びらの幅や、反り返り方にも個性があります。
シクラメン同様、下向きに咲くので、
なかなか正面から花を見ることができません。
↑何とか下からのぞき込んでみたところ。
よく見ると、花粉が青い!
長く伸びためしべは4つに割れている!
そして、花びらの中心部付近にはギザギザの模様があります。
かわいいのと同時に、面白い花だなあ、
と見とれてしまいました。
観光協会の方に伺うと、
ここのカタクリは自生ではなく、
かなり前に植栽されたものなのだそうです。
山間地まで出かけなくても、
自然に近い状態で観賞できる貴重な場所です。
大切に守っていってもらえたらいいなあと思いました。
散策路に戻ると、
いろいろな花たちが手ぐすねを引いて待っていました。
↑ハナモモ(左)とウメ(右)。
大ぶりでゴージャスなハナモモの花は、ほぼ満開。
早くから咲いていたウメたちは、
最後の力を振り絞って咲いているかのようでした。
↑さまざまなサクラたち。
ソメイヨシノはまだつぼみでしたが、
シキザクラやマメザクラ、エドヒガン(多分)、シダレザクラは
きれいに咲いていました。
↑黄色い花たち。
左からレンギョウ、ラッパズイセンの仲間2種(?)。
↑白い花たち。
左からシャガ、ジンチョウゲ(白)、ハナニラ。
↑城山のぐるりにたくさん咲いていたアセビ。
白いものと、ピンクがかったものがありました。
↑こちらも、城山のぐるりにたくさん咲いていたアオキ。
左が雌花で、右が雄花なのですが、
違いが分かりますでしょうか。
(雌花は真ん中にめしべがあるのみで、
雄花は花びらの間に小さなオシベが4つあります)
↑西側の散策路では、ツバキの木々が満開状態でした。
左から紅乙女(こうおとめ)、ヤブツバキ(白)、ヤブツバキ(赤)。
特に数の多いヤブツバキは下に落ちた花が道を点々と彩り、
さながら別世界でした。
今回は上までは登りませんでしたが、
いろいろな花たちを見られ、
また、
他者との過度な接触を避けながらも、
自然の中でくつろぐ家族連れの
リラックスした表情を見ることができて、
ほっとしました。
身近に迫っている危機や閉塞感の中、
いかに病原体の拡散を防ぎながら、
心と体の健康を保つか、
一生懸命考えながら行動している人も
たくさんいらっしゃるのだなあと、
実感した一日でもありました。
身近な人が健康でなければ、
社会や経済が正常に回らなければ、
美しく命を咲かせてみせてくれる花たちを楽しむこともできません。
もっと伸び伸びと花を楽しめる日々が戻りますように。
新型コロナウイルスの一日も早い終息を祈ります。
取材日:2020年3月21日
小牧山
愛知県小牧市堀の内1丁目
※南側(大手口側)に市役所、北側(搦手口側)には警察署があります。
TEL:0568-39-6123(小牧市観光協会)
交通アクセス
○公共交通機関
名鉄小牧線「小牧」駅から、名鉄バスまたは、こまき巡回バスに乗って、「小牧市役所」下車すぐ。
※こまき巡回バスは、大人200円、小学生100円で1日乗り放題、小児および65歳以上は無料。
※小牧駅から小牧山へは、徒歩約20分。
○車
東名高速・小牧ICから南東へ約1.5km。
※駐車場有り(最初の2時間無料、2時間以降は30分ごとに100円)。
- まころーど
- 名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。