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コラム 花紀行

愛知県刈谷市「花池蓮観賞田」のハス

愛知県刈谷市「花池蓮観賞田」のハス

盛夏を実感するような、
うだるような暑さが続いています。

少し気分を変えてくれるような、
水辺で咲く大らかな花を見たくて、
愛知県刈谷市の「花池蓮観賞田」へ行って来ました。

↑市北部にある蓮観賞田の周辺には、
花池をはじめとしていくつかの池があり、
「池と花 四季の小径(こみち)」という
散策マップが掲出されています。

↑道を挟んで、花池の北側に広がる蓮観賞田。

↑手前(南)は主に赤い花が咲く品種、
桟(さん)橋を挟んで北側は主に白い花の品種、
さらにその北側はレンコン採取用の蓮田となっているそうです。

昔、花池にはハスが咲いていたそうですが、
あるときから、全く咲かなくなってしまったといいます。
そこで、
周辺に美しいハスの花を復活させようと、
地元の(主に年配の)有志が中心となって、
20年ほど前からハスの生育・保護活動を行っているそうです。

せっかくだから、
ハスの美しい時期には多くの人に見てもらおうと、
17年ほど前からは6月下旬~7月下旬に「はすまつり」を催すようになり、
知る人ぞ知るハスの名所となっています。

3年前からは市の助成を受けて、
「はすまつり」の期間限定で桟橋を設置。
より観賞しやすくなっています。

↑場所がわかりやすいようにと、看板も設置されていました。

↑「はすまつり」期間中は、
花池蓮愛好会のメンバーが駐在するテントも設置されています。

↑高さ1メートルほどの桟橋。
幅もゆったりしていて、車イスも通れるそうです。

↑桟橋の上から見下ろした、赤い品種の蓮田。
最初に植えたのは、
ハスの生育のノウハウを学んだ愛西市の立田紅蓮とのことですが、
自然交配が進んでいるそうで、花の色に濃淡が見られます。

↑桟橋から降りて、あぜ道から見た赤いハスたち。
大人の目線と同じぐらいの高さのところに花が咲いています。

↑ハス4色。
微妙な色合いに、目を奪われます。

↑赤いハス4態。
咲きかけのハスも、
思いっきり咲き切ったハスも、
それぞれに美しさがありますね。

↑赤い蓮田の少し奥まったところに
「蓮華双」と書かれた札を見つけました。
札の左下方向に2つくっ付いた花托があるのが
わかるでしょうか。

これは一般に「双頭蓮」といわれる現象で、
通常1株に1輪の花が咲くハスですが、
20年に1度ぐらいの頻度で
1株に2輪花をつけることがあるといわれています。

この蓮田では今年初めて現れたそうで、
花が咲いていたのは7月17日から2~3日ほどだったそうです。

「咲いているときを見たかったな」と思っていたら、
花池蓮愛好会の会長さんが、
「撮影した人にもらった写真がある」というので、
見せていただきました。

↑咲きかけの双頭蓮(撮影者:是永津志雄さん)。
撮影者は、
ハスの花期は毎日のようにこの蓮田を訪れているという
豊明市の写真愛好家の方で、
撮影したのは7月17日の朝だそうです。

ハスは大きな花なので、
2つ隣り合って咲くとなると、
このように背中合わせになってしまうのですね。
思わず「へえ~」と声が出てしまう貴重な姿です。

↑道を挟んですぐ南にある
花池の周りも少し歩いてみました。

↑花がほとんど咲かない、葉っぱばかりのハスと、
スイレンの群生が池を覆っています。

↑スイレンは、
花の景観を創り上げていく過程で植えたもので、
当初は5種類あったそうですが、
現在分かるのは4種類ほど。
やはり自然交配の影響なのでしょうか。

↑気持ち良さそうに、すいすい飛び回っていたトンボたち。
いずれも推定ですが、
左から、
シオカラトンボ、チョウトンボ、クロイトトンボ
だと思われます。

↑ハスの葉影では、カモが涼んでいました。

↑ガマノホと、ピンクと白の花筏(いかだ)。
この花筏はどこから来たのかな、と思って見上げたら。

↑道沿いにサルスベリが咲き誇っていました。

ほかにも、
ヒマワリやコキアなど、目に鮮やかな植物が植えてあり、
「花や自然で美しい景観を作ろう」という
地元の方々の心意気が感じられ、
歩いていて気持ちのいい道でした。

蓮田の保全には、
雑草や害虫駆除など、
かなりのマンパワーが必要だそうです。

地域の自然の景観を後世に伝えようとする人たちの努力と、
花を愛する心が紡ぐ景色の
お裾分けをしていただいたなあと感じ入った一日でした。

心おきなく花を楽しめる日々が戻りますように。

取材日:2022年7月23日

DATA

花池蓮観賞田

愛知県刈谷市今川町花池126
TEL:0566-36-5862(花池蓮愛好会会長/塚本隆雄さん)
※観覧自由
※蓮田観賞用の桟橋は、例年6月下旬~7月下旬の「はすまつり」期間中のみ設置(2022年は6月25日~7月24日)。

交通アクセス

○公共交通機関
名鉄「富士松駅」から東へ徒歩約10分。
◯車
伊勢湾岸自動車道・豊明ICから国道1号経由で南東へ約3キロ。
※駐車場無し(路上駐車可)。

取材担当プロフィール

まころーど
名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。