【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 熱湯コラム「いで湯のあしあと」
  4. 福井・鷹巣温泉

コラム 熱湯コラム「いで湯のあしあと」

福井・鷹巣温泉

福井・鷹巣温泉

 浴場は、見た目はごく普通。国民宿舎なだけに、何の飾り気もない。内湯と外湯がそれぞれ1箇所ずつ。いや、細かく言えば、内湯は2つあり、微妙に(2~3度)温度が違う。それぞれ38度~42度くらいである。とにかく体が冷え冷えなので、もくもくと湯気が立ち上る内湯に、とりあえず体を滑り込ませた。

 身体中の血液が流れるのをまともに感じたことはあるだろうか。目を閉じると、ちっちゃな赤血球たちがヘモグロビンと結合して、せっせと酸素を運んでる姿が鮮明に想像できるようである・・・。49℃の「源泉100%かけ流し」が身にしみる。凍結していた血液が、どくん、どくん・・・と音を立てて解凍されていくのを感じながら、様々な思いをはせた。ここのお湯は、加水・加熱を一切していないらしい。源泉100%ゆえか、神経痛が治ったとか、手足のしびれがやわらいだとか、背中の痒みがなくなったとか、確かにベタ褒めな口コミが多い。効果が顕著に現れるらしい。それは私の体内の赤血球くんたちが証明してくれていた。飾り気のない浴場が、いっそうその湯質の良さを際立たせる。

 内湯で充分暖まってから外湯に入ってみた。

 ぬ、ぬるい。というか冷たい。これも一切加熱してないからであろう、外気でお湯が冷えてしまっているのだ。しかし、内湯で湯立ってから入ると、このぬるめがとても心地良い。せんべいみたいに平たくなって首までつかり、空を見上げた。日本海の波の音が聞こえる。とんびが優雅にとんでいた。

 福井まで来たついでに、東尋坊に立ち寄り、美しい夕日を眺め、お決まりの海鮮丼を食べて岐路についた。長時間ツーリングとすっかり冷え込んだ山間の気温のおかげで、さすがに意識が朦朧としながらも、無事帰宅したのは11:30PM。

 長い一日だった。再度冷え切った身体が、また「源泉100%かけ流しの湯」を求めていた。

【国民宿舎 鷹巣荘(鷹巣温泉)】
住所: 福井県福井市蓑町3-11-1
駐車場: あり(宿泊者・利用者は無料)
車の場合: (高速)北陸自動車道 福井北ICより約45分
交通機関: JR福井駅下車(名古屋より約2時間)、福井駅前バスターミナル6番のりば(鮎川・大丹生方面行き)で乗車、みの浦前で下車(所要時間50分)
泉温: 49℃(源泉100% 加水・加熱、循環(ろ過)、消毒 なし)
泉質名: アルカリ性単純温泉(アルカリ性低張性低温泉)、PH値 9.24
効能: 神経痛/筋肉痛/関節痛/五十肩/運動麻痺/関節のこわばり/うちみ/くじき/慢性消化器病/疾病/冷え症/病後回復期/疲労回復/健康増進/動脈硬化症/きりきず/やけど/慢性皮膚病
料金: 入浴のみ ¥500
     ※宿泊(一泊2食)プラン、日帰り昼食プランもあり
URL: http://www.takasusou.jp/index.asp (アクセスマップあり)

2008年10月22日

コラムフォト

ページ : 1 2

取材担当プロフィール

みなもといずみ
近場から遠出まで、行く先々に温泉マークを見つければすぐに飛び込んでしまうほどの温泉女。出張先ですら、温泉があればタオルとパンツを持ってでかけます。女である以上、温泉に癒される人生は永遠です。行き当たりばったりの旅が大好きな私のあこがれは、スナフキン。点々と旅を続けながらいで湯を求め、足あとを残していきたい!